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法人化で節税できるのはなぜ?税理士が仕組みと本当の落とし穴を徹底解説

「売上が1,000万円見えてきた…でも税金が高すぎる!」
「周りから『法人化(法人成り)すると節税できる』と聞くけど、なぜ安くなるのか、仕組みがよく分からない…」
「もし法人化して後悔したらどうしよう…」

そんな悩みを抱えていませんか?

長年、多くの個人事業主様の法人化をお手伝いしてきましたが、勢いで法人化して「こんなはずじゃなかった」と後悔する方も残念ながら見てきました。

この記事では、「なぜ法人化すると節税になるのか?」という根本的な仕組みを解説します。

この記事を読み終える頃には、以下の状態になっています。

  • 法人化で節税になる「カラクリ」を完全に理解できる
  • メリットだけでなく、税理士が知る「本当のデメリット」も分かる
  • ご自身の状況で「今、法人化すべきか」の判断基準が手に入る

目先の節税に飛びつく前に、まずは5分だけ、法人化の真実を知るためにお付き合いください。

目次 非表示

法人税

法人化で節税になる3つの根本理由

「法人化すると節税になる」。その最大の理由は、個人事業主と法人で税金のルールが根本的に異なるからです。

難しい話は抜きにして、理由は大きく3つです。

  1. 個人と法人で税金が異なる
  2. 法人だと利益の分散ができる
  3. 法人化すると経費の範囲が広い

これだけ聞いてもピンと来ないかもしれません。一つずつ、かみ砕いて解説します。

理由1.個人と法人で税金が異なる

最大のポイントは、利益(所得)にかかる税率の仕組みの違いです。

個人事業主の税金:所得税(累進課税)

個人事業主の所得税は累進課税(るいしんかぜい)という仕組みです。利益が多ければ多いほど、税率が階段のように上がっていくルールです。

【例:所得税の税率(速算表)】

  • 330万円〜695万円の部分:20%
  • 695万円〜900万円の部分:23%
  • 900万円〜1,800万円の部分:33%
  • (最大45%まで上がります)

利益が900万円を超えると、超えた部分には33%もの税率がかかります(住民税と合わせると約43%)。稼げば稼ぐほど、税金の負担感が急激に増していく。これが個人事業主の特徴です。

法人の税金:法人税(ほぼ比例課税)

一方、法人の法人税は、個人のように複雑ではありません。

非常にシンプルで、利益(所得)800万円を境にした2段階だけです。

【例:法人税の税率(中小企業の場合)】

  • 利益800万円以下の部分:15%
  • 利益800万円を超える部分:23.2%

個人事業主で利益が900万円を超えると税率33%(住民税等含め約43%)だったのに、法人ならいくら利益が出ても最大23.2%(実効税率は約33%)で頭打ちになります。

利益(所得)が一定ライン(目安として800万〜900万円)を超えると、個人の累進課税のほうが、法人の一定税率よりも高くなってしまうのです。

法人化すると節税になると言われる最大のカラクリです。

法人税

理由2.法人だと利益の分散ができる

また、利益を分散できることも理由の一つです。

個人事業主:利益はすべて事業主のもの

個人事業主の場合、売上から経費を引いた利益は、1円残らずすべて事業主本人の所得になります(青色申告専従者給与を除きます)。

利益が1,000万円なら、1,000万円すべてに先ほどの累進課税がかかります。

法人:利益を役員報酬や会社に分散できる

一方、法人は社長個人とは「別人格」です。そのため、会社に入った利益を、社長個人に「役員報酬(給料)」として支払うことで、利益を分散させることができます。

ここでのポイントは、「役員報酬は会社の経費になる」うえに、受け取る個人側でも「給与所得控除(サラリーマンのみなし経費)」が使えるという「経費の二重活用」ができる点です。


【シミュレーション:利益が1,000万円出た場合】

比較 お金の流れと税金
個人事業主(分散なし) 利益1,000万円すべてが課税対象

高い所得税率(約33%〜43%)が1,000万円全額にかかる。
結果:税負担が重い
法人化(分散あり) 利益1,000万円を「2つの財布」に分ける
(A) 社長の財布(役員報酬):600万円
→「給与所得控除」が使えるため、税金計算上の所得はもっと低くなる。
(B) 会社の財布(利益):400万円
→ 残った利益には、低い法人税率(実効税率約23%前後)が適用される。
結果:トータルの税金が劇的に減る

このように、1,000万円をそのまま受け取るのではなく、税率が安い会社と控除が使える社長個人に分散させることで、トータルで支払う税金を圧縮できるのです。

さらに、配偶者などの家族を役員にして報酬を支払えば、3つ目の財布を作ることになり、さらなる節税効果(所得分散)が期待できます。

理由3.法人化すると経費の範囲が広い

個人と法人はともに事業にかかった費用は経費計上できます。とはいえ、所得税や法人税など納める税金の種類が異なるため、同様の費用を経費計上できるわけではありません。

例えば、法人なら役員や従業員が居住する社宅費や、自身への給与(役員賞与)は条件を満たすと経費計上できます。しかし、個人事業主は認められません。

よって、法人化すると経費にできる範囲が広がります。

法人化で得られる税制上のメリット4選

法人化することで得られる税制上のメリットを4つ紹介します。

  • 給与所得控除の適用で節税できる
  • 家族への役員報酬で所得を分散できる
  • 配偶者・配偶者特別・扶養控除を適用できる
  • 最大10年の赤字繰り越しで節税ができる

給与所得控除の適用で節税できる

法人化をすると、給与所得控除が適用されます。よって、社長個人にかかる所得税を節税できます。

そもそも給与所得控除とは、個人における所得の計算時に、一定額を経費として控除する制度です。

法人化すると社長個人の所得は役員報酬になり、給与所得控除として一定額を所得から差し引いた金額を課税所得として、そこに所得税が課税されます。

個人と比べて、給与所得控除の分がそのまま節税になるわけです。

家族への役員報酬で所得を分散できる

法人化により、家族が会社経営に従事している場合に限り、役員報酬を支給できます。つまり、役員報酬の支払いによる社長個人にかかる所得税の節税効果が期待できます。

役員報酬には累進課税が適用される所得税がかかります。一人ひとりの所得が大きければ大きいほど、かかる税率も上がるため、役員報酬という形で分散できれば税率を低く下げられます。ただし、事業に従事していない方への役員報酬の払い出しは税務上認められませんので、ご留意ください。

配偶者・配偶者特別・扶養控除を適用できる

法人化により、従業員として働く配偶者や子供に支払った給与は経費にできるうえに、金額によっては、引き続き配偶者・配偶者特別・扶養控除の対象になります(扶養されている側の所得がどの程度あるかということが重要です)。

こうした控除をうまく組み合わせて駆使することで、社長個人の課税所得金額を抑えられます。

最大10年の赤字繰り越しで節税ができる

法人化により、最大で10年間赤字を繰り越しできます。

個人事業主の赤字繰り越し期間が3年間のため、7年もの差があります。

店舗ビジネスのような人件費をはじめとする経費が多くかかる事業では、赤字の繰越制度を有効活用することで節税ができます。

税理士が警告!法人化の節税に潜む3つの注意点

ここまで聞くと「今すぐ法人化したい!」と思うかもしれません。

しかし、待ってください。

節税メリットだけを見て飛びつくと、確実に後悔します。

私が実務で見てきた法人化の失敗で最も多い3つの注意点を、包み隠さずお伝えします。

注意点1.社会保険料の強制加入

これが最大の落とし穴です。

個人事業主(従業員5人未満)の場合、国民健康保険と国民年金で済みました。

しかし、法人化すると、社長1人であっても社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が法律で義務付けられます。

そして、社会保険料は会社と個人で折半して支払います。

役員報酬を月50万円(年600万円)に設定した場合、

  • 個人が負担する保険料:約7万円/月
  • 会社が負担する保険料:約7万円/月

合計で毎月約14万円(年間約168万円)もの保険料が発生します。

節税できた金額よりも、社会保険料の負担増のほうが大きくなり、「手取りが減った…」と嘆く社長は本当に多いのです。

注意点2.赤字でも毎年かかる維持費(法人住民税)

個人事業主は、赤字なら税金(所得税・住民税)は基本的にゼロでした。

しかし、法人は違います。

たとえ1円も利益が出ない大赤字であっても、毎年必ず法人住民税の均等割という税金を支払う義務があります。

これは会社として存在するだけでかかる会費のようなもので、最低でも年間約7万円がかかります。

売上が不安定な時期に法人化すると、この均等割がキャッシュフローを圧迫します。

注意点3.会社のお金は社長の自由に使えない

個人事業主の時は、口座にあるお金は(経費以外も)自由に引き出して生活費に使えました。

しかし、法人の口座にあるお金は、あくまで会社のお金です。

社長が勝手に引き出して生活費に使うと、社長への貸付または役員報酬(給与)となり、税務署から厳しくチェックされます。

自由に使えるのは、毎月決められた役員報酬だけ。

このお金の不自由さにストレスを感じる方も少なくありません。

法人化で節税する所得はいくら?税金シュミレーション

では、法人化でいったいどれくらいの金額を節税できるのでしょうか。個人と法人でそれぞれの金額を比較していきましょう。

所得800万円で法人化するシミュレーション

まず所得が800万円の場合、個人事業主と法人でかかる税金を見ていきましょう。

個人事業主の場合は以下のとおりです。

  • 所得税:800万円-120万円=680万円×20%-42.75=93.25万円
  • 住民税:800万円-120万円=680万円×10%=68万円
  • 個人事業税:800万円-290万円=510万円×5%=25.5万円
  • 合計186.75万円

※基礎控除58万円+青色申告特別控除65万円=約120万と仮定し、-120万円としている
※住民税は所得割10%のみと仮定しており、個人事業税は税率5%と仮定している
法人の場合は以下のとおりです。

  • 法人税:800万円×15%=120万円
  • 法人住民税均等割=7万円
  • 法人住民税法人税割120万円×7%=8.4万円
  • 合計135.4万円

※上記に記載のない税金以外は考慮していない。

よって、約51.3万円も納税額を抑えられます。

所得900万円で法人化するシミュレーション

続いて、所得が900万円の場合も比較していきましょう。

個人事業主の場合は、以下のとおりです。

  • 所得税:900万円-120万円=780万円×23%-63.60万円=115.8万円
  • 住民税:900万円-120万円=780万円×10%=78万円
  • 個人事業税:900万円-290万円=610万円×5%=30.5万円
  • 合計224.3万円

法人の場合は、以下のとおりです。

  • 法人税:800万円×15%+100万円×23.4%=143.4万円
  • 法人住民税均等割=7万円
  • 法人住民税法人税割120万円×7%=10万円
  • 合計160.4万円

※それぞれ所得800万の場合のシミュレーションと前提は同じ。

つまり、法人化で約63.8万円も節税できます。

法人化による節税を検討すべき3つのタイミング

では、デメリットも踏まえた上で、いつ法人化を検討すべきでしょうか?

税理士として、以下の3つのタイミングをおすすめしています。

1.消費税は売上が1,000万円を超えた(超えそうな)年


個人・法人問わず、売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。
しかし、売上が1,000万円を超えたタイミングで法人化すると、法人として最大2年間、消費税の納税が免除される可能性があります。これは非常に大きな節税メリットです。

※2023年10月から開始されたインボイス制度により、課税事業者を選択せざるを得ないケースが増えています。法人化しても、インボイス登録をすれば設立1年目から消費税の納税義務が生じます。

2.所得税は利益(所得)が800万〜900万円を超えた年

先ほど解説した通り、個人の所得税率が33%(住民税等込み約43%)になるラインです。
このラインを超えると、法人税率(実効税率約33%)のほうが有利になる逆転現象が起きます。
※ただし、社会保険料の負担も考慮してシミュレーションが必須です。

3.節税より信用や事業拡大が必要な時

節税は法人化のメリットの一つに過ぎません。
法人という看板があることで、金融機関からの融資(ローン)が受けやすくなったり、取引先からの信用が上がったりします。
また、将来的に退職金を受け取ったり、事業承継(M&A)を考えたり、不動産投資を法人で行うなど、資産形成の器として活用したい場合も、法人化の強い動機になります。

法人化による節税の相談ならネイチャーグループ

法人化による節税対策を実施するなら、一度ネイチャーグループへご相談ください。

当社は、日本最大級のコンサルティングファームであり、税務に特化しています。そのため、適切な節税対策を提案できます。

数多くある節税対策のなかから、最適な手法を選ぶのは容易ではありません。仮に選べたとしても、時間や手間がかかり、本業に支障が出てしまう恐れがあります。

その点、当社に相談すれば時間や手間をかけることなく、自社に適切な節税対策がわかります。「法人化で税金を抑えたい」「自社に最適な節税対策を知りたい」という方は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。

まとめ:所得の大きい個人事業主は法人化で節税しよう

最後に、法人化でなぜ節税になるのか、もう一度おさらいします。

  • 理由①:税率の違い
    個人の「儲かるほど高い税率(累進課税)」から、法人の「ほぼ一定の低い税率」に変わるから。
  • 理由②:所得の分散
    利益を「役員報酬」として会社と社長個人に分散し、「給与所得控除」も使えるから。

しかし、忘れてはいけない落とし穴もありました。

  • 注意点1.社会保険料の強制加入(最も重い負担)
  • 注意点2.赤字でもかかる法人住民税(最低7万円)
  • 注意点3.会社のお金は自由に使えない

「法人化=節税」という言葉に踊らされ、目先のメリットだけで判断するのは危険です。

売上が1,000万円、あるいは利益が800万円を超え、かつ、社会保険料を払ってでも法人税率のメリットを享受できるか。そこが分岐点となります。

税理士の視点から言えば、法人化は単なる節税テクニックではありません。

社会的な信用を得て、将来の退職金や相続まで見据えた「資産形成を加速させるための器(うつわ)」を手に入れる行為です。

もしご自身のケースで「結局、いくら節税になるの?」と具体的なシミュレーションが必要であれば、ぜひご相談ください。

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