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第3回:【応用編】LLC持分・トラスト・ジョイントテナンシーを活用した高度な相続対策

これまでの連載では、個人名義の不動産や口座についての対策(TODD/POD)をご紹介しました。しかし、州によってはこれらの制度が利用できない場合や、より包括的な資産管理が求められるケースもあります。

最終回となる今回は、法人(LLC)、信託(トラスト)、共同所有(ジョイントテナンシー)を活用した、より高度なプロベート回避策について解説します。

前回の記事:第2回:【米国金融資産】銀行・証券口座の凍結を防ぐPOD/TODとカリフォルニア州の特例

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1. 現地LLC(Limited Liability Company)での保有

米国不動産を現地法人(LLC)で購入することは、賠償責任のリスクヘッジとして有効ですが、相続対策としても機能させるには注意が必要です。

日本法人で米国不動産を所有する場合と異なり、米国LLCで保有するだけでは、プロベート対策とはならず、LLCの持分(Membership Interest)がプロベートの対象となってしまいます。

プロベートの適用を回避するためには、LLCの定款にあたる「Operating Agreement(運営契約書)」を作り込む必要があります。ここにメンバー死亡時の持分承継先を明記(Transfer on Death条項など)することで、持分のプロベートを回避することが可能です。

既にLLCをお持ちの方も、Operating Agreementの内容を一度見直されることを強くお勧めします。

2. リビングトラスト(撤回可能信託)の活用

TODD制度がない州(ニューヨークやフロリダなど)に資産を持つ場合や、資産規模が大きい場合、複数の州に資産を持つ場合等に有効なのが「リビングトラスト」です。

  • 仕組み
    資産の名義を個人から信託(Trust)に移します。本人は受託者として生前自由に資産管理を行い、死亡後は承継受託者が指定通りに資産を分配します。
  • メリット
    プロベートを回避でき、かつ手続きが非公開であるためプライバシーが守られます。
  • 注意点
    作成コストがかかる点や、承継受託者(米国居住者が望ましい)の選任が課題となる場合があります。

なお、日本の相続税の計算においては、トラスト名義になっていても、個人(被相続人)資産として、課税対象になります。

また、設定時に委託者と一次受益者は同一(被相続人)にしておく等、細かい留意点がありますので、注意が必要です。

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3. ジョイントテナンシー(合有不動産権)

夫婦などで不動産を購入する際、「ジョイントテナンシー(Joint Tenancy with Right of Survivorship)」という形態をとる方法もあります。

これは生存者権が付いた共有形態で、一方が亡くなると、自動的にもう一方に完全な所有権が移転するため、プロベートが発生しません。

【注意点】

非常に強力な手法ですが、日本の税務上は注意が必要です。購入資金の拠出割合と持分が一致していない場合、日本側で贈与税が課されるリスクがあります。プロベート対策のために、安易にジョイントテナンシーにすることは避け、事前に慎重な検討が不可欠となります。

また、混同されやすいですが、ジョイントテナンシー・イン・コモン(各オーナーが独立した持分を持つ)は、プロベート対策とはなりませんので、注意が必要です。

まとめ:最適なプランニングのために

米国資産の相続対策は、州法による違いや資産の種類、ご家族の状況によって最適解が異なります。

法的なプロベート回避と、税務的な日米の相続税・贈与税対策が、大切な資産を守るためには欠かせません。

ご自身の資産がどの州にあり、どのような名義になっているか、現状を正確に把握することが重要です。その上で、将来の相続時に「家族にどのような手続き負担が生じるか」を具体的にイメージし、優先すべき課題を整理しましょう。

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