米国に不動産を保有している場合、日本の相続とは異なる制度への対応が求められます。
米国にはプロベート(裁判所による遺産清算手続)という、時間と費用がかかる裁判所手続きが存在しますが、これを回避し、円滑に資産を承継するための有効な手段としてTDDAがあります。
今回は、オハイオ州独自の制度であるTDDA(Transfer on Death Designation Affidavit)の概要と具体的な手続きの流れについて解説します。
オハイオ州の相続手続きTDDAとは
オハイオ州では、以前はTODD(Transfer on Death Deed 譲渡証書)という制度が一般的でしたが、2009年12月28日以降はTDDA(Transfer on Death Designation Affidavit 死亡時指定宣誓供述書)という形式に変更されました。
基本的な目的や効果は、テキサス州など他州で採用されているTODDとほぼ同様です。生前に受取人(受益者)を指定し、所定の手続きを行っておくことで、所有者が亡くなった際にプロベートを経ることなく、スムーズに不動産の名義を変更することが可能になります。
なお、TDDAの場合は、最後の生存者が亡くなった時に、誰に引き継ぐかを明確に指定できる点、受取人が先に亡くなった場合の「予備の受取人」等を詳細に指定できる点などがあり、実務上の利便性は向上しています。
TDDA手続きの具体的な流れ
日本にお住まいのオーナー様がTDDAの手続きを行う場合の一般的なフローは以下の通りです。現地オハイオ州へ渡航することなく、日本国内および郵送で完結できる点が大きなメリットです。
- TDDAフォームへの記入・受益者指定
所定のTDDAフォームに必要事項を記入し、将来その不動産を受け取る受益者を指定します。 - 公証(Notarization)
作成した書類に対し、公証を受けます。日本国内であれば、在日アメリカ大使館や領事館での公証が可能です。オハイオ州現地の郡監査役室(County Auditor’s Office)へ出向く必要はありません。 - 書類の郵送・登記
公証済みの書類を、物件が所在する郡の登記所(例:Franklin County Recorder’s Officeなど)へ郵送し、登記を行います。
※手続き費用の支払いは小切手(Check)のみ受け付けている場合が多いため、事前の確認が必要です。 - 相続発生後の手続き
所有者がお亡くなりになった後、指定された受益者がTransfer on Death Confirmation(死亡による移転確認書)を提出することで、名義変更が完了します。
知っておきたいTDDAの活用ポイント
TDDAは柔軟な設定が可能であり、オーナー様の意向に沿った資産承継を実現しやすい制度です。
- 受益者の範囲:個人だけでなく、法人を指定することも可能です。
- 複数指定と割合:複数の受益者を設定でき、それぞれの持分割合も自由に決めることができます(例:配偶者50%、長男25%、長女25%など)。また、共有財産として設定することも可能です。
- 適用範囲:所有する不動産全体にTDDAを適用することも、一部の持分のみに適用することも可能です。
まとめ:海外不動産購入時は出口戦略としての相続対策を
米国不動産投資においては、購入や運用だけでなく、最終的な相続をどう迎えるかという出口戦略が極めて重要です。
オハイオ州のTDDAやテキサス州のTODDのように、州ごとに煩雑なプロベートを回避するための制度が用意されています。これらを活用しない手はありません。
海外不動産を購入される際、あるいは既にお持ちの場合は、万が一の際に残されたご家族が困らないよう、現地の法律に則った対策を講じておくことを強くお勧めします。
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