長年会社を率いてきた役員にとって、役員退職金は在任中の功績に報いるとともに、引退後の生活を支える重要な資金です。一方で、「役員退職金はいくらまでなら損金として認められるのか」が分かりにくく、適正な支給額の判断に迷うケースも少なくありません。
「功績倍率は3倍まで」といった目安を耳にすることもありますが、功績倍率3倍が法令上の上限として定められているわけではありません。役員退職金のうち不相当に高額な部分は損金に算入できないため、十分な根拠がないまま支給額を決めると、法人税の負担が想定より増える可能性があります。
この記事では、役員退職金について、損金算入が認められる適正額の考え方や計算方法、損金算入の時期、退職前から進めておきたい事前準備を順に解説します。自社で役員退職金を検討する際に、支給額や手続きについて確認すべきポイントを整理しておきましょう。
役員退職金の損金算入はいくらまで?
役員退職金は、役員の退職に伴って支給する退職慰労金などのうち、税法上適正と認められる範囲で法人の損金に算入できます。一方で、役員退職金について「○万円まで」「最終月額報酬の○倍まで」といった一律の上限額が法令で定められているわけではありません。支給額がいくらであっても無条件に全額を損金算入できるわけではなく、不相当に高額な部分は損金に算入できません。
損金とは、法人税の所得金額を計算する際に、益金から差し引く費用や損失などを指します。そのため、役員退職金の一部が損金不算入になると、その分だけ法人の課税所得が増えることになります。
注意したいのは、支給額が高額と判断されたからといって、原則として退職金の全額が損金から外れるわけではない点です。支給額のうち、不相当に高額と認められる部分が損金不算入となります。
役員退職金が適正な金額かどうかは、主に次の要素を踏まえて判断されます。
- その役員が業務に従事した期間
- 退職に至った事情
- 同業種・同規模の法人における役員退職金の支給状況
このように、役員退職金の適正額は、在任期間や退職の事情、同業類似法人の支給水準などを総合的に考慮して判断されます。一律の計算式だけで、損金算入できる適正額が自動的に決まるものではありません。
役員退職金の損金算入の要点を一覧で確認する
役員退職金の損金算入について全体像を押さえておきましょう。主な確認項目は、次の5つです。
| 確認項目 | 要点 |
| 適正額の判断材料 | 在任期間・退職の事情・同業類似法人の支給状況 |
| 主な計算方法 | 功績倍率法/1年当たり平均額法など |
| 損金算入の時期 | 原則として支給額が具体的に確定した事業年度 |
| 退職の実態 | 形式だけでなく、退職後の地位や職務内容なども確認 |
| 準備しておきたい資料 | 役員退職慰労金規程(整備している場合)・株主総会議事録・算定根拠資料など |
この5つのうち、特に判断が分かれやすいのが、役員退職金の適正額と退職の実態です。以降で順に確認していきます。
役員退職金の損金算入に必要な3つのポイント
役員退職金を損金に算入するには、退職の実態や損金算入の時期、適正額の算定根拠が重要です。税法上、一律に定められた3要件はありませんが、実務上は主に次の3点を確認します。
- 実際に退任している、または実質的に退職したのと同様の事情がある
- 退職金の額と損金算入の時期を確認する
- 支給額が不相当に高額でなく、算定根拠を説明できるようにする
1. 実際に退任している、または実質的に退職したのと同様の事情がある
役員退職金として税務上取り扱うには、まず退職の事実を確認することが重要です。実際に役員を退任するケースだけでなく、役員として在任したまま分掌変更や改選による再任などを行い、その時点で退職金を支給するケースでは、役員としての地位や職務内容が大きく変わり、実質的に退職したのと同様の事情があるかが問題となります。
国税庁は、たとえば常勤役員から非常勤役員になった場合や、取締役から監査役になった場合、分掌変更後の役員報酬がおおむね50%以上減少した場合などを例示しています。ただし、分掌変更後も代表権を有している場合や、実質的に経営上主要な地位を占めている場合などは、退職給与として認められないことがあります。
そのため、代表取締役から会長へ肩書きを変更しただけでは、直ちに実質的な退職と認められるわけではありません。分掌変更によって、代表権、経営上の権限、実際の職務内容、役員報酬などがどのように変化したのかを客観的に説明できるようにしておくことが重要です。
2. 退職金の額と損金算入の時期を確認する
役員退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度です。ただし、実際に退職金を支払った事業年度に損金経理した場合には、その支払った事業年度で損金算入することも認められています。
また、株式会社の取締役に対する退職慰労金が在職中の職務執行の対価として支給される場合は、会社法上の「報酬等」に該当します。定款に定めがなければ、原則として株主総会の決議による手続が必要です。
実務では、役員退職慰労金規程など一定の算定基準に従って具体的な支給額を決定することを、株主総会から取締役会等へ委ねる方法もあります。もっとも、一任の方法が常に認められるとは限らないため、会社法上必要な決議内容や自社の機関設計を確認したうえで手続きを進めることが重要です。
3. 支給額が不相当に高額でなく、算定根拠を説明できるようにする
役員退職慰労金規程がないことだけを理由に、役員退職金が直ちに損金算入できなくなるわけではありません。ただし、役員退職金のうち不相当に高額な部分は損金に算入できないため、なぜその支給額としたのかを合理的に説明できるよう、算定根拠を整理しておくことが重要です。
たとえば功績倍率法を用いる場合は、最終報酬月額、在任年数、採用した功績倍率のほか、その功績倍率を採用した理由などを記録しておきます。単に計算式に当てはめるだけでなく、支給額の計算過程や判断根拠を後から確認できる状態にしておきましょう。
役員退職慰労金規程をあらかじめ整備しておけば、役職ごとの算定基準などを明文化でき、支給額を決定した経緯を説明しやすくなります。ただし、規程に基づいて計算した金額であれば自動的に全額損金算入できるわけではありません。最終的には、在任期間、退職の事情、同業類似法人の支給状況などを踏まえて、支給額が税務上相当であるかを検討する必要があります。
役員退職金の損金算入額を計算する方法
役員退職金の適正額を検討する際の主な計算方法を確認しましょう。ただし、いずれかの計算式に当てはめれば、その金額まで必ず損金算入できるわけではありません。在任期間や退職の事情、同業類似法人の支給状況なども踏まえて判断する必要があります。
- 功績倍率法で役員退職金の目安を計算する
- 功績倍率法が適さない場合は1年当たり平均額法も検討する
- 計算式だけで役員退職金の適正額は決まらない
功績倍率法で役員退職金の目安を計算する
役員退職金の算定に用いられる代表的な方法が功績倍率法です。国税庁の法人税基本通達では、功績倍率法について、役員の退職直前に支給した給与額を基礎として、法人の業務に従事した期間と役員の職責に応じた倍率を乗じて支給額を算定する方法と説明しています。
役員退職金の算定額の目安 = 最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率
例えば、最終報酬月額100万円、在任25年、功績倍率2.5であれば、「100万円 × 25年 × 2.5 = 6,250万円」となります。
功績倍率は、法令で一律に決められた数値ではありません。実務上の目安として、代表取締役社長2.5~3.0倍、専務取締役2.0~2.5倍などが一般的な相場とされています。ただし、功績倍率は法令で一律に定められておらず、「社長は3倍」「専務は2.5倍」など、役職ごとに税務上認められる倍率が決まっているわけでもありません。
そのため、実際の支給時には事前に顧問税理士に相談することを推奨いたします。なお、「功績倍率3倍以下なら税務上問題ない」という基準もありません。公表裁決では、同業類似法人の事業内容や事業規模、実際の功績倍率などを比較して適正額が判断されています。
したがって、自社で採用した倍率について、同業類似法人の支給状況や役員の具体的な職責・貢献などを踏まえて合理的に説明できることが重要です。
功績倍率法が適さない場合は1年当たり平均額法も検討する
功績倍率法による算定が適切でない事情がある場合に検討される方法の一つが「1年当たり平均額法」です。同業で事業規模が類似する法人の役員退職金について、それぞれ勤務年数で割って1年当たりの退職金額を求め、その平均額に対象となる役員の勤務年数を乗じて適正額を算定します。
| 比較対象 | 支給額 | 在任年数 | 1年当たり |
| A社 | 8,000万円 | 20年 | 400万円 |
| B社 | 9,000万円 | 15年 | 600万円 |
| C社 | 5,000万円 | 10年 | 500万円 |
3社の平均は500万円です。在任20年の役員であれば、「500万円 × 20年 = 1億円」が計算上の目安となります。
実際に比較対象を選ぶ際は、業種や事業規模などが類似しているか、その支給事例に特殊事情がないかなども検討する必要があります。裁決でも、事業内容や事業規模などを踏まえて同業類似法人が選定されています。
1年当たり平均額法については、国税不服審判所の裁決において、最終報酬月額が在職期間を通じた会社への貢献を適正に反映していないなどの特段の事情があり、低額となっている場合には、最終報酬月額を基礎としない1年当たり平均額法の方が合理的と判断された事例があります。
そのため、功績倍率法と1年当たり平均額法のどちらでも自由に有利な方を選択できるという意味ではありません。自社の事実関係に照らして、採用する算定方法に合理的な理由があるかを検討する必要があります。
計算式だけで役員退職金の適正額は決まらない
計算式は、役員退職金の適正額を検討するための材料の一つです。次のような事情がある場合は、計算結果だけで判断するのが適切とは限りません。
- 業績悪化などにより、退職前の役員報酬が低くなっていた
- 在任中に役職や職務内容が変わっている
- 創業時から長期間にわたり経営に携わるなど、通常とは異なる事情がある
特に、業績悪化などの事情で最終報酬月額が一時的に低くなっており、在任期間を通じた会社への貢献を適切に反映していない場合は、功績倍率法だけで適正額を算定することが実態にそぐわないことがあります。国税不服審判所の裁決でも、こうした特段の事情がある場合に、1年当たり平均額法による算定がより合理的とされた事例があります。
どの方法を採用するかは、報酬の推移や職務内容の変化、同業類似法人の支給状況などを踏まえて検討することが重要です。
役員退職金の損金算入時期を判断するためのポイント
役員退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議などにより支給額が具体的に確定した日の属する事業年度です。具体額の決定を取締役会へ委ねた場合は、取締役会で金額が確定した日を確認します。
ただし、実際に支払った事業年度に支払額を損金経理した場合は、支払年度に算入する取扱いも認められています。一方、支給額が確定する前の予定額を未払計上しただけでは、原則として損金に算入できません。
役員退職金の損金算入は退職前からの準備が大切
役員退職金は、退職直前に慌てて手続きを進めるのではなく、退職時期を見据えて、役員退職慰労金規程や株主総会議事録、支給額の算定根拠となる資料などを段階的に整えておくことが大切です。
- 退職予定時期から逆算して準備を進める
- 退職金の支給原資を資金繰りに反映する
- 事前に資金を積み立て、赤字回避策を準備しておく
退職予定時期から逆算して準備を進める
法律で決められた準備期限はありません。退職時期が見えてきたら、早めに役員退職慰労金規程や算定方法、役職・報酬の推移を整理しておきましょう。
役員として在任したまま会長などへ分掌変更する予定がある場合は、変更後の職務内容や権限、役員報酬なども確認する必要があります。また、退職金の支給時期や会社の資金繰りについても事前に検討しておきます。
支給を決定する際には必要な機関決議を行い、株主総会議事録などには決議内容を適切に記録するとともに、退職金の計算過程や功績倍率を採用した理由などの算定根拠資料を別途保存しておくことが重要です。
退職直前に支給額や手続きをまとめて決めるのではなく、役員報酬や職務内容の推移、支給額の算定根拠、退職または分掌変更の実態を客観的に確認できる資料を整えておきましょう。
支給原資を資金繰りへ反映する
役員退職金は、会社にとって大きな資金支出となります。支給後も、仕入代金や人件費などの運転資金、予定している設備投資の資金を確保できるか事前に確認しておきましょう。
支給時期を決める際は、決算期前後の資金繰りも踏まえて検討する必要があります。損金算入による法人税への影響だけでなく、退職金を支給した後の手元資金まで確認することが大切です。
支給原資をどのように準備するかについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
事前に資金を積み立て、赤字回避策を準備しておく
役員退職金は法人の経営者にとって、非常に重要な引退後の生活原資です。法人の資金繰りにより、退職金の額が少なくなってしまうことは避けることが望ましいと考えられます。
一般的には、法人保険などを活用して、経営中の保障をつけながら、最終的には役員退職金の積み立てにもつながっているような設計をされることが多くあります。役員退職金を損金算入する場合、法人にとっては巨額の損金が生じることで一時的に赤字になってしまうことがあります。
役員退職金が原因とはいえ、これからの金利上昇が予想される経営環境の中で、銀行の貸し渋りや金利高を招きかねない赤字決算を回避することは、後継者への事業承継を考える上でも非常に重要なポイントになります。
そのため、戦略的に役員退職金の原資、そして損金に対応する益金を準備しておくことが重要と考えられますが、なるべく早い段階から着手することで、効率よく資金を準備することにつながります。どのような方法で退職金原資を準備すればよいかお知りになりたい場合は、ぜひ当社の無料面談をご活用ください。
役員退職金の損金算入で注意する3つの場面
役員退職金の損金算入では、退職の実態や支給方法によって判断が分かれることがあります。特に次の3つは、支給前に確認しておきたいポイントです。
- 社長から会長へ移る場合は権限や職務内容を見直す
- 報酬を50%以上減額しても退職扱いになるとは限らない
- 役員退職金を分割払いする場合は税務上の取扱いに注意する
1. 社長から会長へ移る場合は権限を見直す
代表取締役社長を退いて会長になるなど、役員として在任したまま分掌変更を行う際に退職金を支給する場合は、肩書きの変更だけでなく、役員としての地位や職務内容が大きく変わり、実質的に退職したのと同様の事情があるかが重要です。
特に、代表権を持ち続けている場合や、代表権がなくても実質的に会社の経営上主要な地位を占めている場合は、実質的に退職したと同様の事情にあるとは認められにくくなります。
後継者へ経営上の権限が移り、本人の職務内容や経営への関与がどのように変わったのかを客観的に説明できるようにしておきましょう。
2. 報酬を50%以上減らしても退職扱いとは限らない
役員の分掌変更後に退職給与として認められる例示の一つに、役員給与がおおむね50%以上減少した場合があります。ただし、50%以上減額すれば必ず退職給与として認められるわけではありません。
分掌変更後も経営上主要な地位にある場合などは、この取扱いの対象になりません。報酬額だけでなく、役員としての地位や実際の職務内容が大きく変わったかどうかを含めて判断されます。
退職給与に該当しない場合は、退職給与以外の役員給与として、法人税上の損金算入の可否を判断することが必要です。所得税上も退職所得に該当しなければ、支給の性質に応じて給与所得として課税される可能性があります。
退職前後に報酬や職務を変更する場合は、変更時期や理由、職務内容の変化を議事録などに記録しておきましょう。
3. 役員退職金を分割払いする場合は税務上の取扱いに注意する
資金繰りなどの事情から、役員退職金を複数回に分けて支給することがあります。実際に役員を退任した場合には、分割払いであることだけを理由に直ちに退職金としての取扱いが否定されるものではありません。株主総会の決議などによって退職金の総額が具体的に確定している場合は、損金算入時期について、原則としてその金額が具体的に確定した日の属する事業年度を基準に検討します。
一方、社長から会長への分掌変更など、役員として在任したまま「実質的に退職したのと同様の事情」があるとして退職金を支給する場合には注意が必要です。法人税基本通達では、分掌変更等に伴う退職給与について、未払金等に計上した金額は原則として退職給与に含まれないとされています。
そのため、役員退職金を分割払いにする場合は、実際に役員を退任するケースなのか、分掌変更等による実質退職のケースなのかを区別したうえで、総額、各回の支給額、支給時期、分割する理由などを整理しておくことが重要です。
役員から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合に、確定した退職金を複数回に分けて支給するときは、退職金の総額を基に源泉徴収すべき所得税・復興特別所得税の総額を計算し、その税額を各回の支給額の割合に応じて按分して源泉徴収します。
なお、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合は取扱いが異なり、原則として各回の支給額に20.42%を乗じた所得税・復興特別所得税を源泉徴収します。
役員退職金の損金算入額だけで手取りを判断しない
会社側で役員退職金を損金に算入できるかどうかと、受け取る役員の手取り額は別の問題です。実際にいくら手元に残るのかまで確認しておきましょう。
- 原則として退職所得控除後の金額に2分の1を乗じる
- 退職金6,000万円の手取りを試算する
退職所得控除を引いて2分の1を乗じる
税務上、退職所得に該当する役員退職金は、給与所得とは分けて計算します。まず、勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引きます。
- 勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超: 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)
原則として、退職金から退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1が課税退職所得金額となります。このように、退職所得には退職所得控除や分離課税など、給与所得とは異なる仕組みが設けられています。
※役員等としての勤続年数が5年以下で、その期間に対応する退職金が特定役員退職手当等に該当する場合は、2分の1を乗じる計算は適用されません。また、前年以前に他の退職金や一定の確定拠出年金の老齢一時金などを受け取っている場合には、勤続期間の重複によって退職所得控除額の計算が変わることがあります。
退職金6,000万円の手取りを試算する
役員として25年在任した代表取締役が6,000万円を受け取るケースについて、2026年分の税率を基に試算すると、以下のとおりです。
ここでは、25年間の全期間が今回の退職金の勤続期間であり、過去の退職金や確定拠出年金の老齢一時金などとの勤続期間の重複調整がなく、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出しているものとします。
| 項目 | 金額 |
| 退職金 | 6,000万円 |
| 退職所得控除 | 800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円 |
| 控除後の金額 | 4,850万円 |
| 課税退職所得金額 | 2,425万円 |
| 所得税・復興特別所得税 | 約705万円 |
| 住民税 | 約243万円 |
| 手取り額 | 約5,053万円 |
退職所得には、退職所得控除や原則として2分の1課税、分離課税が適用されます。同額を役員報酬として受け取る場合とは税額の計算方法が異なるため、受取方法も含めて手取り額を比較することが重要です。
役員が会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、会社が退職所得控除や税率を反映して所得税・復興特別所得税を源泉徴収するため、原則として退職金について確定申告をする必要はありません。
一方、この申告書を提出していない場合は、退職金の支給額に対して20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収され、受給者本人が確定申告をして精算することになります。
なお、申告書を提出している場合でも、医療費控除や寄附金控除などの適用を受けるため確定申告をする場合には、退職所得も含めて申告する必要があります。
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役員退職金の適正額は、在任期間や退職の事情、同業類似法人の支給水準などを踏まえて判断します。あわせて、会社の資金繰りや退職後の生活資金、自社株評価、保有資産の構成、将来の相続まで見据えて検討することが重要です。
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まとめ:役員退職金は適正額の範囲で損金算入される
役員退職金に、税法上の一律の上限額はありません。ただし、支給額のうち不相当に高額と認められる部分は、損金に算入できません。
功績倍率法による計算額も、適正額を判断する材料の一つです。裁判例では、同業類似法人3社の平均功績倍率1.06を用いて適正額を算定した例もあり、「3倍」などの倍率が一律の基準ではないことが分かります。
最終報酬月額が役員の功績を適切に反映していないなどの事情がある場合は、1年当たり平均額法が合理的とされることもあります。
確認しておきたいのは、次の4点です。
- 職務の実態として退職しているか
- 支給額の算定根拠を説明できるか
- どの事業年度の損金に算入するか
- 支払方法と資金繰りに無理がないか
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