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【税理士が解説】W-8BENの書き方完全ガイド!確定申告まで見据えた損しない節税術

「最近、米国金融機関を開設したけど、証券会社からW-8BENっていう英語の書類の提出を求められた…」
「これって何?出さないとどうなるの?書き方もさっぱり…」

このようにお困りではありませんか?

近年、このW-8BENの手続きでつまずき、本来払う必要のない税金を払ってしまっているお客様が後を絶ちません。

この記事では、数多くの海外投資案件に携わってきた税金のプロが、誰にでも分かるように、W-8BENの書き方から提出、確定申告までをわかりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、W-8BENに関する不安が解消しているでしょう。

目次 非表示

海外確定申告

そもそもW-8BENとは? なぜ提出が必要?税理士がわかりやすく解説

W-8BENの正体:「私は米国の納税者ではありません」という宣言書

W-8BENとは、一言でいうと「私はアメリカに住んでいる人(米国の納税義務者)ではありませんよ」と宣言するための書類です。

アメリカでは、自国の投資家と海外の投資家とで、税金のルールが異なります。そのため、証券会社はあなたに配当金などを支払う際に、「この人はどちらのルールの対象者だろう?」と確認する必要があるのです。

この書類を提出することで、あなたは日本の居住者として扱われ、有利な税金のルールが適用されるようになります。

最大のメリット:日米租税条約で税率が30%→10%に軽減!

なぜ日本の居住者だと有利なのでしょうか?

それは、日本とアメリカの間で日米租税条約という、二重で税金を取られないようにするための特別なルールが結ばれているからです。

W-8BENを提出することで、このルールが適用され、米国株の配当金にかかる米国の源泉徴収税率が、本来の30%から10%へと大幅に引き下げられます。

W-8BENを提出した場合 W-8BENを提出しない場合
米国での税率 10% 30%
10万円の配当金 手取り9万円 手取り7万円
50万円の配当金 手取り45万円 手取り35万円
差額 20%も損をする!

【要注意】提出しないとどうなる?二重課税で手取りが激減

「でも、日本でも税金がかかるなら、結局同じじゃないの?」と思われたかもしれませんが、それは大きな間違いです。

W-8BENを提出しないと、アメリカで30%の税金が引かれた上に、日本でも課税対象となります。もちろん、後述する外国税額控除で一部は取り戻せますが、手続きが複雑になる上、取り戻せる金額にも上限があるため、結果的に損をしてしまう可能性があります。

【記入例付き】W-8BENの書き方を9つのステップで徹底解説(2025年最新版)

ここからは、W-8BENの各項目について、何をどのように記入すればよいかを具体的に解説します。多くの証券会社ではオンラインで入力できますが、質問項目は同じです。紙で提出する方は、以下の記入例を参考にご自身の情報に置き換えて書いてみてください。

Part I:受取人の情報(Identification of Beneficial Owner)

1. 氏名(Name of individual who is the beneficial owner)

  • 内容:あなたの氏名をローマ字で記入します。
  • 記入例:MAKOTO SUZUKI
  • ポイント:ヘボン式ローマ字で、「名・姓」の順番で記入してください。

2. 国籍(Country of citizenship)

  • 内容:あなたの国籍を英語で記入します。
  • 記入例:JAPAN

3. 住所(Permanent residence address)

  • 内容:現住所を英語表記で記入します。
  • 記入例:
    Street address: 1-1, Marunouchi, Chiyoda-ku
    City or town, state or province: Tokyo 100-0005
    Country: JAPAN
  • ポイント:順番は「部屋番号・番地・町村」→「市区」→「都道府県・郵便番号」→「国」の順です。自信がない方は、住所を英語に変換してくれるウェブサイトを使うと便利です。

4. 郵送先住所(Mailing address)

  • 内容:郵送先が上記の住所と異なる場合のみ記入します。
  • ポイント:上記の住所と同じ場合は空欄でOKです。

5. 米国納税者番号(U.S. taxpayer identification number (SSN or ITIN))

  • 内容:米国の社会保障番号(SSN)や個人納税者番号(ITIN)です。
  • ポイント:ほとんどの日本人投資家は持っていないので、空欄でOKです。

6. 外国(日本)の納税者番号(Foreign tax identifying number)

  • 内容:日本での納税者番号を記入する必要がない為、N/Aと記載します。
  • 記入例:N/A
  • ポイント:日本のマイナンバー(個人番号)12桁を記入する必要はありません。

7. 外国の納税者番号を報告する必要がない(Check if FTIN not legally required)

  • 内容:外国の納税者番号を報告する必要がない
  • 記入例:✔

Part II:租税条約上の特典に関する申告(Claim of Tax Treaty Benefits)

8. 居住国(I certify that the beneficial owner is a resident of…)

  • 内容:あなたが税法上の居住者である国を記入します。
  • 記入例:JAPAN
  • ポイント:「JAPAN」と記入することで、日米租税条約の適用を主張します。

9. 租税条約の適用と特別な税率(Special rates and conditions)

  • 内容:適用を受けたい租税条約の条項と税率、所得の種類を記入します。
  • 記入例:
    Article and paragraph: 10
    Rate: 10%
    Type of income: Dividends

【税理士のワンポイント解説】
ここは最重要項目です!「日米租税条約の第10条に基づき、配当(Dividends)所得の税率を10%にしてください」という申請になります。この記述がないと軽減税率が適用されないため、必ず正確に記入しましょう。

Part III:証明(Certification)

10.署名欄

  • 内容:全ての内容が真実であることを証明する署名と日付を記入します。
  • Sign Here(署名欄):あなたのサインをします。パスポートと同じサインが理想ですが、普段使っているもので構いません。漢字でもローマ字でもOKです。
  • Print name of signer(署名者の氏名):ここにはサインではなく、ブロック体のローマ字で氏名をはっきりと書きます。
  • 記入例:MAKOTO SUZUKI
  • Date(日付):記入日を「月-日-年」の順番で記入します。
  • 記入例:10-07-2025

【プロの視点】税理士が教える!お客様が陥りがちな間違い

私がこれまで見てきた中で、お客様が特に間違えやすいポイントを2つご紹介します。

  1. 住所の英語表記の順番を間違える
    日本語の順番のまま書いてしまうケースです。必ず「番地→市区町村→都道府県」の順番で書きましょう。
  2. Part II の項目9を空欄にしてしまう
    最ももったいないミスです。ここを空欄にすると、W-8BENを提出する意味がなくなってしまいます。上記の記入例を参考に、必ず記入してください。
海外確定申告

W-8BENの提出方法と有効期限について

基本は証券会社のウェブサイトから!オンラインでの提出方法

ネット証券では、ウェブサイト上でW-8BENの情報を入力するだけで手続きが完了します。郵送やスキャンは不要で、非常に簡単です。
口座開設の流れで手続きを案内されることが多いですが、もし忘れていても、ログイン後の「お客様情報」や「各種手続き」といったメニューから提出できます。

紙で提出する場合の注意点と送付先

もし紙での提出が必要な場合は、先ほど解説した手順でPDFに記入・印刷し、証券会社が指定する送付先に郵送します。送付先は証券会社のウェブサイトで確認するか、カスタマーサポートに問い合わせましょう。

うっかり失効に注意!W-8BENの有効期限は3年

W-8BENには有効期限があります。原則として、提出した年を含めて3年後の年末(例: 2025年10月に提出した場合、2028年12月31日まで有効)に失効します。

有効期限が近づくと、ほとんどの証券会社からメールなどで更新の案内が届きます。案内が来たら、速やかに再度手続きを行いましょう。

W-8BENを提出したら終わりじゃない!確定申告の「外国税額控除」でさらに節税

W-8BENを提出して、米国での税率が10%に下がった。これで一安心…ではありません!
実は、この10%の税金も、確定申告をすることで一部を取り戻せる可能性があるのです。その制度が外国税額控除です。

残りの10%も取り戻せる?「外国税額控除」の仕組み

簡単に言うと、外国税額控除とは「外国で払った税金を、日本で払う税金から差し引ける制度」です。

  1. 米国で10%の税金を払う
  2. 日本でも約20%の税金がかかる
  3. → 合計で約30%? これでは二重課税です。
  4. そこで、確定申告で外国税額控除を使い、米国で払った10%分を、日本で払う税金から引いてもらうのです。

これにより、最終的な税負担は、日本株に投資した場合とほぼ同じ水準にすることができます。

W-8BEN提出と確定申告で二重課税を回避する流れ

  1. W-8BENを提出: 米国での税率を30%→10%に下げる
  2. 確定申告で外国税額控除を申請: 日本の税金から、米国で払った10%分を差し引く

この2つのステップを両方行うことで二重課税をほぼ回避できます。

税理士に相談するメリットとは?

「確定申告はなんだか難しそう…」と感じる方も多いでしょう。
外国税額控除の計算は、所得の状況によって少し複雑になる場合があります。もしあなたが、

  • 手続きに時間をかけたくない
  • 計算ミスで損をしたくない
  • 他にも不動産所得や事業所得がある

といった状況であれば、私たち税理士にご相談ください。専門家が正確な申告を行うことで、安心して資産運用に集中することができます。

海外確定申告

こんな場合はどうする?W-8BENに関するQ&A

Q. 提出を忘れて期限が過ぎてしまいました…

A.気づいた時点ですぐに再提出してください。今後の配当金から軽減税率が適用されます。ただし、すでに30%の税率で徴収されてしまった税金を遡って取り戻すのは非常に困難なため、期限内の提出が重要です。

Q. 個人事業主やフリーランスの場合、書き方は変わりますか?

A.変わりません。個人として投資をしているのであれば、会社員の方と全く同じW-8BENを提出します。

Q. ITIN(米国個人納税者番号)は必要ですか?

A.ほとんどの日本の個人投資家には不要です。

まとめ:W-8BENは米国投資の第一歩。賢い税金対策で資産を最大化しよう

今回は、米国投資における最初の関門ともいえるW-8BENについて解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • W-8BENは、米国での税率を下げるための非常に重要な書類
  • 書き方はこの記事の【記入例付き】解説を見れば、誰でも簡単にできる
  • 有効期限は3年。更新を忘れないようにしよう
  • 提出後は、確定申告の「外国税額控除」で、払った税金の大部分を取り戻せる!

W-8BENの手続きは、面倒に感じるかもしれませんが、これを乗り越えれば、自信を持って米国株投資を続けることができます。正しい知識を武器に、賢く、そして着実にあなたの資産を育てていきましょう。

もし、国際税務や資産運用全体について、より専門的なアドバイスが必要になった際は、いつでも私たち税理士法人ネイチャーにご相談ください。資産形成を全力でサポートします。

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