シンガポールに預金や不動産を持つ方にとって、相続時に確認したいのが日本での課税です。シンガポールではEstate Dutyと呼ばれる遺産税が廃止されています。ただし、シンガポールに相続税がないことと、日本で相続税がかからないことは同じではありません。
日本の相続税では、亡くなった方と財産を取得する方の住所、国籍、過去の日本居住歴などによって、国外にある財産も課税対象に含まれる場合があります。シンガポールの預金、不動産、証券口座なども、日本側の課税範囲に入れば相続財産として申告が必要です。
この記事では、シンガポールの相続税制度を確認したうえで、日本で相続税の対象になるケースを居住地別に解説します。シンガポール資産を相続する際は、まず日本でどこまでが課税財産になるのかを確認し、申告の要否や財産評価を順に整理していきましょう。
シンガポールに相続税はない?
シンガポールのEstate Duty(遺産税)は、2008年2月15日以後に亡くなった方には適用されません。現在、シンガポールでは日本の相続税に相当する遺産税は廃止されています。
ただし、シンガポールでEstate Dutyが廃止されていても、日本の相続税まで免除されるわけではありません。日本の相続税の対象になるかどうかは、日本の相続税法に基づいて判断します。
| 確認項目 | シンガポール | 日本 |
| 相続時の税制 | Estate Dutyは廃止 | 相続税あり |
| 税率 | 適用なし | 10~55% |
| シンガポールにある資産 | Estate Dutyの対象外 | 条件により課税 |
日本では、相続税の計算に10〜55%の超過累進税率を用います。シンガポールにある預金、不動産、証券口座なども、日本側で国外財産まで課税される立場に該当すれば、日本の相続税の計算に含める必要があります。
なお、Estate Dutyがないことと、現地で一切の税務・手続きが不要であることは別です。たとえば、シンガポール不動産を保有している場合には、相続税とは別にProperty Taxなどの現地税制や名義変更手続きの確認が必要になることがあります。
そのため、シンガポール資産の相続では、次の2つを分けて確認しましょう。
- シンガポール側で、遺産税以外の税金や名義変更手続きがあるか
- 日本側で、シンガポール資産が相続税の課税対象に含まれるか
シンガポールの税制全般については、別記事でも解説しています。
シンガポール資産に日本の相続税はかかる?
シンガポールにある資産が日本の相続税の対象になるかどうかは、資産の所在地だけで決まるわけではありません。
まずは、「誰が、どの財産を取得したか」を整理し、そのうえで相続税法上の納税義務者の区分を確認します。特に、財産を取得した人の住所、国籍、過去の日本居住歴、亡くなった方の住所などが判断に影響します。
| 確認する事項 | 判定で見るポイント |
| 相続人の住所 | 財産を取得した時点で生活の本拠が日本にあるか |
| 被相続人の住所 | 亡くなった時点で生活の本拠が日本にあったか |
| 国籍・住所歴 | 日本国籍の有無や過去10年以内の日本居住歴 |
| 資産の所在 | 相続税法上、日本国内財産か国外財産か |
国外財産まで日本の相続税の対象になるのは、財産を取得した人が無制限納税義務者に該当する場合です。無制限納税義務者に該当すると、日本国内の財産だけでなく、シンガポールにある預金、不動産、証券口座なども日本の相続税の課税対象に含まれます。
一方、制限納税義務者に該当する場合は、原則として日本国内にある財産だけが日本の相続税の対象になります。この場合、シンガポールにある財産は、日本の相続税の対象外となる可能性があります。
ただし、納税義務者の判定は、相続人の現在の住所だけで単純に決まるものではありません。被相続人の住所、相続人と被相続人の国籍、過去10年以内の日本居住歴なども確認する必要があります。
シンガポール資産の相続税を居住地別に判定する
実務では、被相続人と相続人の組み合わせから確認すると整理しやすくなります。代表的なパターンは次のとおりです。
| 被相続人 | 相続人 | 確認のポイント | 国外財産の取扱い |
| シンガポール居住 | 日本居住 | 相続人の住所・在留資格 | 原則として課税 |
| 日本居住 | シンガポール居住 | 被相続人の住所・国籍・在留資格 | 原則として課税 |
| シンガポール居住 | シンガポール居住 | 国籍・過去10年以内の日本居住歴 | 条件により異なる |
| 居住国が家族で異なる | 複数国に居住 | 各相続人の属性 | 相続人ごとに確認 |
シンガポール居住者から日本居住者が相続する場合
相続人が日本に生活の本拠を有している場合、通常は、シンガポールにある資産を含めて日本の相続税を計算します。
ただし、相続人が外国籍で、一定の在留資格を有する一時居住者に該当する場合は、被相続人の状況によって課税範囲が変わることがあります。一時居住者に該当するかどうかは、在留資格や、相続開始前15年以内に日本に住所を有していた期間などを確認して判断します。
そのため、日本居住者が相続する場合でも、相続人の国籍、在留資格、過去の日本居住歴、被相続人の属性を確認することが重要です。
日本居住者からシンガポール居住者が相続する場合
財産を受け取る相続人がシンガポール在住でも、日本との関係がなくなるわけではありません。
たとえば、日本に住む日本国籍の親が亡くなり、シンガポール在住の子が財産を取得する場合は原則、シンガポールにある資産も日本の相続税の計算に含まれます。
相続人が日本国籍を有している場合は、相続開始前10年以内に日本に住所を有していたかどうかを確認します。また、相続開始前10年以内に日本に住所を有していない場合でも、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人に該当しないときは、国外財産まで課税対象になります。
一方、被相続人が一定の在留資格を有する外国籍の方である場合や、日本国外に長期間居住している場合は、別の判定が必要です。
双方がシンガポール居住の場合
被相続人も相続人もシンガポール在住の場合は、日本との過去の関係を確認します。
相続人が日本国籍を有し、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していた場合は、原則として国外財産も日本の相続税の課税対象になります。
一方、相続人が日本国籍を有していても、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有しておらず、かつ、被相続人も相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していない場合等では、日本国内財産のみが課税対象となります。
したがって、単に「日本国籍がある」「10年以上シンガポールで生活している」という事実だけで結論は決まりません。相続人と被相続人の住所歴をそれぞれ確認し、納税義務者の区分を判定する必要があります。
相続人が複数国に住む場合
相続人が複数いる場合、全員を一括して同じ区分で判断するわけではありません。それぞれの相続人について、住所、国籍、過去の日本居住歴を確認します。
たとえば、日本国籍の父が15年間シンガポールで生活し、その間、日本に住所を置いていなかったとします。保有財産は、シンガポールの預金3億円、シンガポール不動産4億円、日本法人株式2億円です。相続人は長男と長女とします。
| 相続人 | 現在の状況 | 課税される財産の範囲 |
| 長男 | 日本国籍・日本在住 | 国内・国外の双方 |
| 長女 | 日本国籍・シンガポール在住12年 | 原則として日本国内財産のみ |
この事例では、長男は日本に住所を有しているため、シンガポール資産を含めて日本の相続税の課税対象になります。
一方、長女は日本国籍を有していても、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していない前提です。また、父は相続開始時に日本国内に住所がなく、相続開始前10年以内にも日本国内に住所を有していないため、非居住被相続人に該当する可能性があります。
その場合、長女が取得する財産については、原則として日本国内財産のみが日本の相続税の課税対象になります。上記の例では、日本法人株式2億円が日本国内財産として課税対象になり、シンガポールの預金や不動産は日本の相続税の対象外となる可能性があります。
ただし、実際の判定では、父と長女の住所の認定、過去10年以内の日本居住歴、取得財産の所在、国外転出時課税の納税猶予の有無などを確認する必要があります。
シンガポール資産の相続税評価方法
シンガポール資産が日本の課税対象になる場合、日本の財産評価の考え方に沿って評価し、円に換算します。資産ごとに、どの時点の何を基に評価するかを確認しましょう。
- 銀行預金は死亡日残高を基に評価する
- 不動産は現地の時価資料で評価する
- 有価証券は種類別に評価する
- 外貨は死亡日のTTBで換算する
- CPFやSRSは権利内容を確認して評価する
銀行預金は死亡日残高を基に評価する
銀行預金は、被相続人が亡くなった日の残高を基に評価します。定期預金は、亡くなった日に解約した場合の既経過利息も含めて確認します。
外貨建て預金であれば、シンガポールドルなどの外貨残高を確認したうえで、円に換算します。換算方法は、後述するTTBを用いるのが原則です。
共同名義の口座がある場合は、名義だけで全額を被相続人の財産と判断するのではなく、実質的な帰属を確認します。具体的には、誰が資金を拠出したか、誰が管理していたか、口座開設の目的、入出金の実態などを確認し、被相続人に帰属する金額を判断します。
不動産は現地の時価資料で評価する
シンガポールの不動産には、日本の路線価を使うことはできません。そのため、現地の売買事例、公的な価格、鑑定評価、不動産会社の査定資料などを参考に、亡くなった日の時価を評価します。
評価資料としては、次のようなものが考えられます。
- 現地の不動産鑑定評価書
- 近隣類似物件の売買事例
- 固定資産税などの課税上の評価資料
- 不動産会社の査定書
- 購入時の契約書や、その後の価格変動を示す資料
取得時の価格をそのまま使えるとは限りません。購入時から相続開始日までに不動産価格が変動している場合は、現地の価格動向や売買事例などを踏まえて、相続開始日時点の価額を確認します。
また、現地のローンがある場合でも、不動産の評価額から直接差し引くのではなく、相続税の計算上、債務控除できるかを別に判定します。借入名義、残高、返済義務者、資金使途を確認し、被相続人の確実な債務といえるかを整理しましょう。
有価証券は種類別に評価する
シンガポール取引所の上場株式は、日本の上場株式の評価方法に準じます。原則として、亡くなった日の終値と、その月・前月・前々月の終値の月平均額を比較して評価します。
外国法人の非上場株式は、日本法人の非上場株式と同じ資料をそのまま使えるとは限りません。会社の決算書、純資産、収益力、株主構成、現地の評価実務などを確認し、国外財産として合理的な評価方法を検討します。
投資信託についても、上場投資信託、非上場投資信託、ファンド持分など、商品の種類によって評価方法が異なります。基準価額、解約価額、運用報告書、ファンドの契約条件などを確認しましょう。
なお、株式の所在地は、原則として証券会社の所在地ではなく、発行会社の本店または主たる事務所の所在地で判定します。たとえば、日本の証券会社口座で保有していても、発行会社がシンガポール法人であれば、国外財産として扱われる場合があります。
外貨は死亡日のTTBで換算する
SGD(シンガポールドル)建ての財産は、原則として納税義務者の取引金融機関が公表する、亡くなった日の最終のTTB(対顧客直物電信買相場)などで円に換算します。
亡くなった日に相場がない場合は、その日前の最も近い日の相場を使用します。外貨建ての債務を円換算する場合は、原則としてTTS(対顧客直物電信売相場)を使用します。
CPFやSRSは権利内容を確認して評価する
CPFやSRSがある場合は、日本の相続税上、どのような財産や権利に当たるかを個別に確認します。
CPFは、シンガポールの中央積立基金制度です。口座の種類や加入者の状況によって、死亡時に受け取れる金額、受取人の指定、引き出し制限などが異なります。日本の相続税では、死亡時点で被相続人にどのような経済的価値のある権利があったかを確認します。
SRSは、任意の退職準備制度です。口座内に預金、投資信託、株式などが含まれている場合は、その内訳に応じて評価方法を確認します。単にSRS口座の残高だけを見るのではなく、保有資産の種類、解約・引き出し条件、課税関係、受取人の権利を確認することが重要です。
CPFやSRSは、日本の預金、年金、生命保険、信託受益権などのどれに近いかを形式だけで判断できない場合があります。現地の制度内容、契約書、口座明細、受取人指定の有無を確認し、日本の相続税上の財産性と評価額を整理しましょう。
シンガポール資産で相続税申告が必要な場合
シンガポール資産が日本の課税対象になっても、必ず相続税の申告が必要になるわけではありません。原則として、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合に申告が必要です。
相続税の申告が必要かどうかは、日本国内財産とシンガポール資産などの国外財産を含めた課税価格の合計額が、基礎控除額を超えるかどうかで判断します。
基礎控除額は、次の計算式で求めます。
「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」
たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。日本の相続税の課税対象となる財産の合計額が4,800万円以下であれば、原則として相続税の申告は不要です。
一方、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要になります。シンガポールの預金、不動産、有価証券などが日本の課税対象に含まれる場合は、それらも含めて基礎控除額を超えるかを確認します。
課税価格の合計額を確認する際は、単に財産の時価を合計するだけではありません。相続や遺贈により取得した財産、みなし相続財産、相続時精算課税の対象となる贈与財産などを加え、非課税財産、債務、葬式費用などを差し引いて計算します。また、暦年課税による一定の生前贈与財産を加算する場合もあります。
配偶者の税額軽減を適用すれば相続税が0円になる場合でも、適用を受けるには相続税の申告が必要です。配偶者の税額軽減では、配偶者が実際に取得した正味の遺産額について、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額まで、配偶者の相続税が軽減されます。
そのため、シンガポール資産がある相続では、まず日本の課税対象に含まれる財産を整理し、基礎控除額を超えるかを確認します。そのうえで、配偶者の税額軽減など申告が必要な特例を使うかどうかもあわせて確認しましょう。
相続税の申告が必要な場合は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行います。海外資産がある場合は、残高証明書や不動産評価資料、為替換算資料の取得に時間がかかることがあるため、早めに資料収集を始めることが重要です。
シンガポール資産の相続税申告に必要な資料
シンガポール資産を日本の相続税申告に含める場合は、相続関係を確認する資料に加えて、住所歴、資産の残高や評価額、外貨換算に関する資料を集める必要があります。
国外資料は取得に時間がかかることがあるため、相続税の申告期限から逆算して早めに準備しましょう。
| 区分 | 主な資料 | 確認する内容 |
| 相続関係 | 戸籍謄本、法定相続情報一覧図、遺言書、遺産分割協議書など | 相続人、取得者、取得割合 |
| 住所歴・居住歴 | 戸籍の附票、住民票の除票、在留証明書、パスポートの出入国記録など | 被相続人・相続人の住所、過去の日本居住歴 |
| 預金 | 銀行の残高証明書、口座明細、定期預金の利息計算資料預金 | 死亡日現在の残高、既経過利息、共同名義口座の実質帰属 |
| 不動産 | 登記・権利関係の書類、売買契約書、現地鑑定評価書、近隣売買事例、ローン残高証明書など | 所有者、相続開始日時点の時価、債務控除の可否 |
| 有価証券 | 証券口座の残高明細、取引報告書、上場株式の株価資料、非上場会社の財務資料など | 保有銘柄、数量、評価額、発行会社の所在地 |
| CPF・SRS | 口座明細、制度内容が分かる資料、受取人指定の有無、引き出し条件の資料など | 日本の相続税上の財産性、評価額、受取人の権利 |
| 外貨換算 | 金融機関の為替相場表、死亡日のTTB・TTS、換算計算表 | 外貨建て資産・債務の円換算 |
| 債務・葬式費用 | 借入金残高証明書、請求書、領収書、葬儀関係費用の明細など | 債務控除・葬式費用として控除できるか |
| 翻訳・補足資料 | 英文資料の日本語訳、評価方法の説明メモ、現地専門家のレポートなど | 税務署に内容を説明できる状態か |
相続税の申告期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。シンガポールの銀行、不動産会社、証券会社、現地専門家から資料を取り寄せる場合は、国内財産だけの申告よりも時間がかかることがあります。
特に、死亡日現在の残高証明書、不動産の評価資料、非上場株式の財務資料、CPF・SRSの権利内容が分かる資料は、早めに手配しましょう。
また、英語の資料をそのまま保存するだけでなく、金額、日付、名義、評価方法が分かるように日本語の補足メモを作成しておくと、申告書作成や税務署への説明がしやすくなります。
シンガポール資産がある相続では、資料収集、財産評価、為替換算、納税義務者の判定を並行して進めることが重要です。
シンガポール資産の相続税における注意点
シンガポールへの移住や国外財産の保有だけでは、日本の課税範囲は決まりません。見落としやすい4つの点を確認しましょう。
- 10年ルールだけで課税範囲を判断しない
- 住民票だけで住所を判断しない
- 日本国内の財産は課税範囲に含まれる
- 国外転出時課税が生じる場合がある
10年ルールだけで課税範囲を判断しない
課税範囲は、過去10年以内の住所歴だけでなく、国籍、被相続人の状況、財産所在地を踏まえて判定します。
被相続人と相続人がともに日本国籍を持つ一般的なケースでは、次の条件をすべて満たす場合、シンガポールにある国外財産は日本の相続税の対象外となります。
- 相続人が相続時に日本に住所を有さず、相続開始前10年以内にも日本に住所を有していない
- 被相続人が死亡時に日本に住所を有さず、相続開始前10年以内にも日本に住所を有していない
- 取得する財産が、相続税法上の国外財産に該当する
ただし、日本国内の不動産や日本法人の株式など、相続税法上の国内財産は、上記のような場合でも日本の相続税の対象になる可能性があります。また、外国籍の方、一時居住者、国外転出時課税の納税猶予を受けている方などは取扱いが異なる場合があります。
住民票だけで住所を判断しない
相続税における「住所」は生活の本拠を指します。住民票の有無だけで判断するのではなく、住居、職業、家族の居住状況、滞在日数、資産の所在、事業の拠点など、生活実態を踏まえて判断します。
たとえば、日本で転出届を出し、シンガポールにも住居を構えた会社経営者がいるとします。しかし、家族が日本の自宅に住み続け、経営の拠点も日本にあり、本人も頻繁に日本へ帰国している場合は、日本に生活の本拠があると判断される可能性があります。
住民票を海外に移していることは、住所判定の一つの資料にはなります。ただし、それだけで相続税法上の住所が国外にあると認められるとは限りません。
シンガポール移住後の相続税リスクを確認する場合は、住民票だけでなく、実際の生活拠点がどこにあるかを整理しておきましょう。
日本国内の財産は課税範囲に含まれる
被相続人と相続人の双方が海外に住んでいても、日本国内にある財産は原則として日本の相続税の課税対象です。たとえば、次のような財産は、日本国内財産として扱われる可能性があります。
- 日本国内の不動産
- 日本法人の株式
- 日本国内の営業所にある預貯金
- 日本国内に所在する動産
- 日本国内の不動産を対象とする権利
そのため、シンガポールに長期間住んでいる場合でも、日本に不動産や日本法人株式を持っていると、日本で相続税申告が必要になる可能性があります。
国外財産が課税対象外になるかどうかを確認する際も、日本国内財産が残っていないかをあわせて確認しましょう。
国外転出時課税が生じる場合がある
国外転出時課税は、相続税ではなく所得税の制度です。一定の居住者が、1億円以上の有価証券等の対象資産を保有したまま国外へ転出する場合などに、対象資産を譲渡したものとみなして含み益に所得税が課されることがあります。
また、一定の居住者が亡くなり、1億円以上の対象資産の全部または一部を、シンガポールなどに住む非居住者が相続または遺贈により取得する場合は、国外転出(相続)時課税の対象となることがあります。
この場合、問題になるのは相続税だけではありません。被相続人の所得税について、準確定申告や国外転出(相続)時課税の要否を確認する必要があります。
特に、上場株式、投資信託、非上場株式、デリバティブ取引などを多額に保有している場合は、相続税の課税範囲とは別に、国外転出時課税の対象資産に該当するかを確認しましょう。
シンガポール資産の相続税申告なら税理士法人ネイチャー
海外資産の相続では、日本の相続税だけでなく、資産の所在国や家族の居住状況まで含めて整理する必要があります。
税理士法人ネイチャーでは、シンガポールをはじめとする海外資産の相続についてご相談いただけます。
相続人や被相続人の住所・国籍・住所歴を踏まえた課税範囲の判定から、海外預金や不動産、有価証券の評価、相続税申告の要否まで確認します。相続前であれば、現在の資産構成や将来の相続を踏まえ、資産運用と税金対策を一体的に検討することも重要です。
シンガポール資産の相続税申告や事前の準備について確認したい方は、初回無料面談をご利用ください。
まとめ:シンガポールに相続税がなくても日本の課税範囲を確認しよう
シンガポールでは、2008年2月15日以後に亡くなった方についてEstate Dutyが廃止されています。ただし、日本の相続税は、相続人や被相続人の住所・国籍・過去の住所歴などによって課税範囲が変わります。
シンガポール資産が日本の課税対象になる場合は、基礎控除額を超えるかを確認し、相続税申告の要否を判断します。
判定に迷うときは、税理士法人ネイチャーの無料相談をご利用ください。ご家族の状況に応じて、シンガポール資産の課税範囲や申告の要否を整理します。
資産運用や税金対策についてどんな不安や疑問もコンサルタントが丁寧にお答えします。
お客様の保有資産をさらに増やすための最適な提案を数多くの選択肢からご提供します。
豊富な経験と、投資や税務の様々な視点から、お客様にあった税金対策を提案します。
相続税の不安やお悩みに、専門チームが最適な対策をご提案します。


