「売上は順調なのに、なぜか手元にお金が残らない」
「今の顧問税理士は、毎月の試算表を持ってくるだけで、具体的な節税提案をしてくれない」
そんな悩みを抱えていませんか。税金対策は経営者や資産家にとって永遠の課題です。
この記事では、長年税務と金融の現場に携わってきたプロの視点から、皆さんの資産を本気で守り、増やすための「節税に強い税理士」の選び方を徹底解説します。単なるテクニック紹介ではなく、税理士の実力を見抜く具体的な質問や、経営者・富裕層が目指すべき攻めの節税についても深掘りします。
この記事を読み終える頃には、税理士選びの明確な基準を持ち、税金に対する不安を解消し、未来の資産形成に向けた最適なパートナーを見つけるための一歩を踏み出せる状態になっているでしょう。
節税と税理士の「不都合な真実」:なぜ税理士によって差がつくのか?
「税理士なら誰でも節税に詳しい」というのは、残念ながら大きな誤解です。税理士のスキルやスタンスによって、納税額に数百万円、時には数千万円単位の差が生まれることも珍しくありません。なぜそのような差が生まれるのでしょうか。
税理士の業務は「記帳代行」がメイン?
多くの税理士事務所にとって、主な収益源は顧問先企業の記帳代行や決算申告書の作成です。ルーティンワークを正確にこなすことは非常に重要ですが、業務の中心が過去の数字の処理になっていると、未来のキャッシュフローを最大化するための戦略的な節税提案にまで手が回らないケースがあります。
節税提案が「リスク回避的」になる理由
税理士は税務のプロであると同時に、税務署からの指摘(税務調査での否認)を極度に恐れる側面も持っています。万が一、指導した節税策が否認されれば、クライアントに迷惑がかかるだけでなく、税理士自身の信用問題にもなります。
結果として、多くの税理士は税務署に絶対に否認されないことを最優先し、節税効果は低くても安全確実な守りの提案に終始しがちです。
税制改正のキャッチアップ速度が成果を左右する
税法は毎年、非常に複雑に改正されます。特に資産課税や国際税務の分野は、改正のスピードが速く、内容も難解です。
攻めの節税を行うには、最新の税制を深く理解し、それをクライアントの状況に合わせて応用する高度な知識が求められます。この知識のアップデートを怠っている税理士と、常に学び続けている税理士とでは、提案の質に天と地ほどの差が生まれてしまうのです。
「守り」と「攻め」の節税:あなたの目的はどちらですか?
節税には、大きく分けて「守りの節税」と「攻めの節税」があります。どちらが良い悪いではなく、状況と目的に合わせて使い分ける必要があります。
「守りの節税」とは?(経費計上、各種控除の活用)
現行の税法で認められている制度を使い、無駄な税金を払わないようにする防御の対策です。どの税理士でも対応可能な基本中の基本と言えます。
(1)経費の漏れなき計上
事業に関連する領収書を整理し、計上漏れをなくすこと。基本ですが最も効果的です。
(2)経営セーフティ共済(倒産防止共済)
掛金を全額損金にしながら、簿外資産(解約返戻金)を積み立てる王道の手段です。
(3)各種控除・非課税枠の活用
iDeCo、NISA、医療費控除など、国が用意した優遇税制をフル活用します。
経営者・富裕層が目指すべき「攻めの節税」とは?(投資・資産形成との連動)
税制の仕組みを戦略的に活用し、将来の資産形成や事業拡大につなげる攻撃の対策です。金融や資産運用に関する深い知見が求められます。
(1)役員報酬の最適化
単に上げ下げするのではなく、社会保険料・法人税・個人の所得税の「トータルコスト」が最小になる黄金比を見つけ出します。
(2)オペレーティングリース
航空機や船舶などへ投資し、一時的に大きな損金を作って課税を繰り延べる手法です。突発的な利益が出た年に有効です。
(3)国際税務スキーム
海外子会社の設立や海外不動産の活用により、グローバルな視点でタックスプランニングを行います。
やりすぎは禁物!「節税」と「脱税」の明確な境界線
非常に重要な点として、節税と脱税は似て非なるものです。攻めの節税を追求するあまり、一線を越えればそれは犯罪になります。この境界線を正しく認識してください。
【節税(ホワイト)= 合法】
税法のルール(解釈)の範囲内で、合法的に税負担を軽減する行為。
- 手法:役員報酬の調整、倒産防止共済、中古資産の減価償却など。
- 結果:手元のキャッシュが増え、会社が守られる。
【脱税(ブラック)= 違法】
意図的に事実を隠蔽・仮装し、法律を破って税金を逃れようとする行為。
- 手法:売上の除外、架空経費の計上(領収書の偽造)、実態のない海外送金など。
- 結果:重加算税(最大40%)や刑事罰が科され、社会的信用を失う。
実力のある税理士は、ギリギリまで攻める節税提案はしても、「実態のない取引」や「事実の歪曲」は絶対に見逃しません。あなたが誤って一線を越えそうになった時、体を張ってでも止めてくれるのが、本当に信頼できるパートナーです。
節税に本当に強い税理士を見極める「魔法の質問7選」
では、どうすれば攻めの節税まで提案できる、本当に実力のある税理士を見極められるのでしょうか。初回相談や面談の際に、ぜひ以下の7つの質問を投げかけてみてください。その回答の具体性と論理性に注目しましょう。
質問1:「先生の事務所では、どのような節税対策をクライアントに提案していますか?」
月並みな回答(「経費をしっかり計上しましょう」「倒産防止共済に入りましょう」など)しか出てこない場合、引き出しが少ない可能性があります。
「お客様の業種や成長ステージに合わせて、例えば…」と、具体的な事例やスキーム(手法)を、メリットとデメリット(リスク)を両論併記で説明できるかを確認しましょう。
質問2:「最近の税制改正で、私のビジネス(資産状況)に最も影響があるのは何ですか?」
最新の税制改正(例:インボイス制度、電子帳簿保存法、生前贈与の加算期間変更など)を即座に挙げ、それがあなたの状況に「どう影響するか」「どう対策すべきか」を具体的に説明できるかを見ます。知識のアップデートができているかの試金石です。
質問3:「役員報酬はいくらに設定するのが最適だと考えますか?その根拠は?」
(法人経営者の場合)「利益が出ているから上げる」といった単純な回答ではなく、「社長個人の所得税・住民税・社会保険料」と「法人の法人税」のトータル負担が最小になるシミュレーションを行えるか、その根拠を論理的に説明できるかを確認します。
質問4:「(法人向け)消費税の免税・軽減税率について、どのような対策を推奨しますか?」
(特にインボイス導入後)消費税の仕組みは非常に複雑です。免税事業者との取引、簡易課税制度の選択、輸出入の有無など、会社の状況を踏まえた具体的なアドバイスができるかは、実務能力を測る良い指標になります。
質問5:「(富裕層向け)相続税対策として、生前贈与以外にどんな選択肢がありますか?」
生前贈与は基本ですが、それ以外の選択肢(例:生命保険の非課税枠活用、不動産への組み換え、自社株対策、信託の活用など)を、あなたの資産背景に合わせて提案できるか。資産税(相続・贈与)の経験値が分かります。
質問6:「税務調査の立ち会い経験と、過去の指摘事項について教えてください」
税務調査の経験が豊富か、また、調査でどのような点が論点になりやすく、どう対応(反論・交渉)したのか。守秘義務の範囲内で、具体的なエピソードを語れる税理士は頼りになります。
質問7:「セカンドオピニオンとしての契約は可能ですか?」
現在の顧問税理士との関係を維持しつつ、節税や資産防衛の相談だけを依頼できるかを確認します。実力に自信がある税理士は、セカンドオピニオン契約を歓迎する傾向があります。
パターン別:節税を税理士に依頼するメリットと注意点
あなたの立場によって、税理士に求める役割や節税のポイントは異なります。
ケース1:法人経営者(事業拡大とキャッシュフロー最大化)
【事業を伸ばすための戦略的パートナーとして活用する】
成長企業の経営者にとって、税理士は単なる計算係ではありません。役員報酬の最適化や出張旅費規程の整備、中小企業投資促進税制などの特例活用、さらには消費税対策まで、事業の成長ステージに合わせた攻めの節税策を提案してもらうことで、手元のキャッシュを最大化できます。また、金融機関からの資金調達を見据えた銀行評価の高い決算書作りのアドバイスも得られます。
【ここに注意】
「税金をゼロにしましょう」などと、粉飾決算まがいの危ない処理を推奨する税理士には警戒してください。目先の税金は減っても、銀行からの信用を失い、肝心な時の融資が受けられなくなるリスクがあります。
ケース2:個人事業主(法人成り・消費税インボイス対応)
【法人化という大きな分岐点の水先案内人にする】
売上が1,000万円を超えそうなタイミングで、最も頼りになるのが税理士です。「今のまま個人でいくべきか、法人化すべきか」について、税金だけでなく社会保険料や事務負担まで含めた精密なシミュレーションを依頼できます。また、複雑なインボイス制度への対応や、経費計上の適正化を通じて、あなたの手取り額を最大化するサポートが受けられます。
【ここに注意】
単に記帳代行だけを安く請け負う税理士ではなく、事業の将来性を見据えて法人化のタイミングを一緒に悩み、考えてくれるパートナー型の税理士を選んでください。
ケース3:富裕層・資産家(相続・事業承継・国際税務)
【億単位の差が出る資産防衛の参謀にする】
資産家にとっての税理士選びは、資産の多寡(たか)に直結します。相続税対策は、不動産評価、生前贈与、生命保険、自社株評価などの高度な知識を駆使することで、納税額が億単位で変わることも珍しくありません。また、海外資産がある場合は、国際税務に精通した税理士によるタックスプランニングが必須となります。
【ここに注意】
この領域は超・専門分野です。一般的な法人の顧問税理士では対応しきれないケースが多々あります。「相続専門」「国際税務専門」など、その分野に特化した強みと実績を持つ税理士をピンポイントで選ぶ必要があります。
税理士への節税相談にかかる費用相場と契約形態
節税相談の費用は、税理士事務所の方針や依頼内容によって大きく異なります。
顧問契約とスポット相談の違い
節税相談の費用は、依頼の仕方によって大きく異なります。 大きく分けて継続的な顧問契約と単発のスポット相談の2種類があります。ご自身のニーズに合わせて選びましょう。
| 契約形態 | 費用相場(目安) | 特徴・メリット |
| ① 顧問契約 (継続サポート) |
【法人】月額 3万円~決算料 15万円~ 【個人】月額 1.5万円~確定申告料 10万円~ |
【日々の安心と継続対策】 ・日々の経理処理から節税相談まで、年間を通じて継続的にサポートを受けられます。 ・会社の状況を深く理解してもらえるため、タイミングを逃さない節税提案が期待できます。 |
| ② スポット相談 (単発・タイムチャージ) |
1時間あたり1 ~ 3万円 (+成果報酬の場合あり) |
【ピンポイントな課題解決】 ・特定の課題(相続税シミュレーション、不動産売却など)だけを相談できます。 ・現在の顧問税理士とは別に、セカンドオピニオンとして意見を聞きたい場合に最適です。 |
節税コンサルティングの費用目安(顧問料+成功報酬など)
攻めの節税や高度なタックスプランニングを依頼する場合、通常の顧問料とは別に、コンサルティングフィーや成功報酬(節税できた額の10~20%など)が発生することが一般的です。
「費用対効果」をどう判断すべきか?
税理士費用が安いことだけで選んではいけません。
例えば、年間の顧問料が30万円でも、その税理士の提案によって100万円の節税ができれば、実質的なコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
支払う費用とそれによって得られる節税効果や安心感、将来の資産増加を天秤にかけて判断することが重要です。
今の税理士に不満がある方へ。円満な変更・引き継ぎガイド
「今の税理士には長年お世話になっているし、変更を切り出しにくい…」と感じる方も多いでしょう。しかし、あなたの資産を守るためには、時に決断も必要です。
税理士変更を考えるべき「危険サイン」
- 節税に関する具体的な提案が一切ない。
- 質問に対する回答が遅い、または曖昧で要領を得ない。
- 最新の税制改正(インボイスなど)について、こちらから聞かないと説明がない。
- 税務調査の際に、税務署の言いなりになっている。
- 担当者がコロコロ変わり、自社の状況を理解してもらえていない。
角を立てない伝え方と最適なタイミング
税理士を変更は事業年度が終了し、決算申告が終わった直後が最もスムーズです。
これまでの感謝を伝えた上で、「今後は、〇〇(例:事業承継、国際税務)の分野に強い税理士にサポートをお願いすることにした」など、相手を非難するのではなく、自社のステージが変わったことを理由にすると角が立ちにくいです。
新しい税理士へのスムーズな引き継ぎ方法
新しい税理士が決まったら、旧税理士に連絡し、過去の申告書控えや総勘定元帳などの資料一式(現在は会計ソフトのデータ移行が主流)を引き継いでもらうよう依頼します。通常は税理士間で直接やり取りしてくれるため、あなたが間に入る手間は最小限で済みます。
まとめ:節税は「目的」ではなく「手段」。最適なパートナーと共に未来を描こう
税金対策、すなわち節税は、単にお金を残すことだけが目的ではありません。節税によって生み出された貴重なキャッシュ(お金)を、あなたの事業の成長、家族の幸せ、あるいは次の資産形成に再投資することこそが、本当の目的のはずです。
税理士は、その目的を達成するための重要なパートナーです。
過去の数字を処理するだけではなく、あなたの未来を一緒に描き、税務・金融の専門家として的確なアドバイスをくれる戦略家を選ばなくてはなりません。
今回ご紹介した魔法の質問を武器に、ぜひ最高のパートナーを見つけてください。税金への不安から解放され、本業や資産運用に集中できる環境を手に入れることは、何物にも代えがたい価値があるはずです。
資産運用や税金対策についてどんな不安や疑問もコンサルタントが丁寧にお答えします。
お客様の保有資産をさらに増やすための最適な提案を数多くの選択肢からご提供します。
豊富な経験と、投資や税務の様々な視点から、お客様にあった税金対策を提案します。


