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土地は生前贈与と相続どちらが得?手続きを含めてプロが徹底解説

「土地を子どもに譲りたいが、今のうちに生前贈与するのと、亡くなったあとに相続するのとではどちらが得なのだろう」とお悩みの声は多く聞かれます。年収が高く資金力があっても、不動産の渡し方次第では多額の税金が発生し、ご家族の手元に残る財産が大きく目減りする恐れがあるため注意が必要です。

この記事では、不動産税務に強い税理士法人ネイチャーが、土地の生前贈与と相続を比較する際の判断ポイントや、名義変更の手続きを詳しく解説します。

土地の性質に応じた選択肢を知ることで、不要な税負担や諸費用を抑え、ご家族へより多くの財産を引き継げる可能性があります。すべての土地を今のうちに名義変更すべきとは限らないため、本質的な価値の見極めが重要です。

相続税

土地の生前贈与と相続はどちらが得?

土地の生前贈与は、すべての土地において得になるわけではありません。ここでは、生前贈与と相続のどちらが適しているかを検討する際の、5つの主な判断ポイントをお伝えします。

判断基準のチェックポイント検討の方向性
将来、価値(路線価)が大きく上がる見込みがある土地である生前贈与を検討する
アパートなど毎月安定した家賃収入を生む収益物件(土地・建物) である生前贈与を検討する
現金を贈与するよりも結果的に贈与税の負担が軽くなる生前贈与を検討する
自宅の敷地など小規模宅地等の特例の条件を満たす土地である相続まで残す
名義変更にかかる各種税金が、将来の節税メリットを上回ってしまう相続まで残す
特定の子どもに渡すことで、他の兄弟姉妹と遺産分割で揉めるリスクがある相続まで残す

土地を生前贈与で譲る3つのメリット

将来の価値変動や収益に注目すると、一部の土地では、生前贈与によって将来の相続税負担を抑えられる場合があります。ただし、贈与時にかかる税金や諸費用との比較が必要です。

  • 値上がりが見込まれる土地は税負担を抑えられる
  • 安定した家賃収入を生む収益物件の土地は財産を移転できる
  • 不動産の贈与時の評価額が現金贈与よりも有利になる

値上がりが見込まれる土地は税負担を抑えられる

値上がりが見込まれる土地は、今のうちに譲れば将来の税負担を抑えられます。相続税や贈与税における土地の評価は、路線価方式または倍率方式などにより行います。将来、相続税評価額が上昇した場合、評価額が低い時点で生前贈与することが有利になるケースがありますが、贈与時の税負担や諸費用も含めた比較が必要です。

たとえば、数年後に大規模な再開発が予定されているエリアの土地を個人名義で持っている方の事例を考えてみましょう。現在の評価額が2,000万円であっても、将来1億円に上昇する可能性があります。

相続時精算課税制度を利用した場合、原則として贈与時の価額を基に将来の相続税が計算されるため、原則その後の値上がり分が相続税の課税価格に反映されません。また生涯で2,500万までの資産であれば、贈与しても贈与税がかからないことがメリットです(贈与した時点の評価額に対して相続税はかかります)。

ただし、一度選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税へ戻せないため、他の財産を含めて慎重に判断する必要があります。

安定した家賃収入を生む収益物件の土地は財産を移転できる

安定した家賃収入を生む収益物件は、土地と建物の所有関係を整理したうえで生前贈与することで、その後の収益を次世代へ移転できる場合があります。アパートやマンションが建っている土地を親が持ち続けていると、毎月の家賃収入が親の銀行口座に積み上がり、結果として将来の財産総額をさらに増やしてしまうのです。

建物または土地・建物を子どもへ贈与し、賃貸借契約や管理関係も適切に変更すれば、その後の家賃収入は原則として子どもの所得になります。親の財産増加を未然に防ぎながら、子ども自身の資産形成を後押しできる点がメリットです。

不動産を活用した資産移転の詳しい仕組みについては、関連記事「相続税対策に不動産が使えるのはなぜ?その理由と活用方法をわかりやすく紹介」も併せてご覧ください。

不動産の贈与時の評価額が現金贈与よりも有利になる

生前贈与では、現金をそのまま贈与する場合と、不動産を贈与する場合で、税負担が大きく変わることがあります。

たとえば、18歳以上の子や孫が父母・祖父母などから贈与を受ける「特例贈与」を前提に、現金1,000万円を贈与する場合と、売却想定価値1,000万円・相続税評価額400万円の不動産を贈与する場合を比較します。

項目現金贈与不動産贈与
贈与する財産現金1,000万円売却想定価値1,000万円の不動産
贈与税の計算上の評価額1,000万円400万円
基礎控除110万円110万円
基礎控除後の課税価格890万円290万円
適用税率・控除額30%・90万円15%・10万円
贈与税額177万円33.5万円

不動産を贈与する場合は、贈与税のほかに不動産取得税や登録免許税もかかります。ここでは、相続税評価額400万円をもとに、不動産取得税3%、登録免許税2%として概算します(※実際には固定資産税評価額をベースに計算します)。

税目計算式税額
不動産取得税400万円 × 3%12万円
登録免許税400万円 × 2%8万円
取得時コスト合計12万円 + 8万円20万円

以上を踏まえると、現金贈与と不動産贈与の税負担は次のとおりです。

項目現金1,000万円を贈与不動産を400万円評価で贈与
贈与税177万円33.5万円
不動産取得税なし12万円
登録免許税なし8万円
税負担の合計177万円53.5万円
差額現金贈与より123.5万円少ない

このケースでは、売却想定価値が同じ1,000万円でも、不動産の相続税評価額が400万円であれば、贈与税の計算対象が小さくなります。その結果、不動産取得税や登録免許税を加味しても、現金贈与より税負担を抑えられる可能性があります。

なぜこのようなことが起こるのかというと、贈与税の計算をするときには国が定めるルールに従って不動産を評価した価額(一般に通達評価額といいます)を使うためです。このルールの中では、人に貸しているような不動産や都市部にある不動産は評価額が下がりやすくなるため、1,000万円で売れるポテンシャルのある不動産が400万円で評価されることもよくあります。現金1,000万円の通達評価額は額面通り1,000万円なので、生前贈与を不動産で進めると結果的に税負担が軽くなることがあるのです

また不動産は持分の一部を贈与することもできます。何年かに分けて徐々に名義をお子様やお孫様に移される方もいらっしゃいます。

ただし、不動産贈与では、名義変更のための司法書士報酬や、不動産評価額算定のための税理士報酬がかかる場合があります。そのため、不動産贈与は贈与時の税負担だけでなく、その他のコストも含めて検討することが重要です。

相続税

生前贈与で土地を動かすデメリットは?相続まで残すべき財産

自宅の敷地などを安易に名義変更すると、本来適用できる特例を受けられなくなるケースがあります。そのまま残すべき財産の特徴を解説します。

  • 自宅の土地は小規模宅地等の特例が適用できなくなる
  • 不動産取得税と登録免許税のコストは相続時より高くなる
  • 他の兄弟姉妹と遺産分割で揉める原因になる

自宅の土地は小規模宅地等の特例が適用できなくなる

自宅の土地は、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があるため、生前贈与の前に相続まで保有する場合と比較しましょう。小規模宅地等の特例とは、被相続人などが居住していた宅地を一定の親族が相続し、所定の要件を満たした場合に、330平方メートルまでの部分について相続税評価額を80%減額できる制度です。

しかし、この特例は亡くなった時点で被相続人が所有していた財産にのみ適用される点に留意しなければなりません。生前贈与した土地は、原則として贈与者の相続時に小規模宅地等の特例の対象にはなりません。そのため、贈与による税負担と、相続まで保有した場合の特例による減額効果を比較する必要があります。

駐車場など他の土地における特例の適用条件については、「駐車場の相続税対策ガイド!小規模宅地等の特例で50%節税できる?」にて詳しく解説しています。

不動産取得税と登録免許税のコストは相続時より高くなる

不動産取得税と登録免許税のコストが相続時よりも高くなる点に注意が必要です。土地の名義を変更する際、国に納める登録免許税という税金がかかります。

所有権移転登記の登録免許税は、原則として、相続では固定資産税評価額の0.4%、贈与では2%です。なお、一定の相続登記には登録免許税の免税措置が適用される場合があります。

さらに、不動産取得税という別の負担も生じることを忘れてはいけません。土地(宅地等)の場合は税率が3%に引き下げられ、課税標準額が2分の1に軽減される特例措置があります。しかし、相続による取得は原則として不動産取得税が課されませんが、生前贈与は課税対象です。ただし、土地や住宅については、取得時期や用途などに応じた軽減措置が設けられています。

相続時精算課税制度等を適用して贈与税をゼロに抑えられたとしても、名義変更にかかる手数料や登録免許税などの税金だけで、数百万円の出費が発生する事例も起こりえます。目先の数字だけでなく、総合的なコストの計算が大切です。

他の兄弟姉妹と遺産分割で揉める原因になる

特定の親族にだけ財産を渡すと、他の兄弟姉妹と遺産分割でトラブルになりかねません。長男にだけ価値の高い土地を譲るといった偏った渡し方をすると、親が亡くなった際、他の兄弟姉妹が不公平感を抱くこともありえます。

法律上、一定の家族には遺留分(いりゅうぶん)と呼ばれる最低限の財産を受け取る権利が保障されています。特定の相続人への生前贈与は、その目的や内容によって特別受益として遺産分割時に考慮されたり、遺留分侵害額請求の対象になったりする可能性があります。全体の財産バランスを見据えた慎重な判断が不可欠です。

生前贈与の土地にかかる贈与税は?2つの課税制度の計算

土地を譲る際にかかる税金には、主に2つの計算制度が存在します。ご自身の年齢や資産の状況に合わせて適切な制度を選択してください。

  • 暦年課税は年間110万円の控除額を超えた分に課税される
  • 相続時精算課税制度は2,500万円まで特別控除を利用できる
  • 土地の贈与税額を算出する計算シミュレーションを確認する

暦年課税は年間110万円の控除額を超えた分に課税される

暦年課税は、年間110万円の枠を超えた分に課税される一般的な制度です。財産をもらう人1人につき、1年間で合計110万円までであれば贈与税の申告と納税は必要ありません。しかし、評価額が数千万円単位になる土地をそのまま渡す場合、110万円の枠を大きく超えてしまい多額の税金が発生します。

2023年度税制改正により、2024年1月1日以後の暦年課税による贈与について、相続財産への加算対象期間が段階的に3年から7年へ延長されました。相続開始日が2028年12月31日までの場合は、従来どおり原則3年以内です。

土地の持分を毎年少しずつ贈与する場合でも、受贈者が将来その贈与者から相続や遺贈により財産を取得するときは、一定期間内の暦年課税による贈与が相続税の課税価格に加算される可能性があります。

相続時精算課税制度は2,500万円まで特別控除を利用できる

相続時精算課税制度では、年110万円の基礎控除に加え、累計2,500万円までの特別控除を利用できます。贈与者が亡くなった際は、原則として基礎控除後の贈与時の価額を相続財産に加えて相続税を計算します。

この制度を選ぶと、累計2,500万円までの贈与について、一時的に贈与税を納めずに財産を譲ることが可能です(将来の相続発生時に相続財産として合算し、精算します)。

年110万円の基礎控除および累計2,500万円の特別控除を超えた部分には、贈与時に一律20%の贈与税がかかります。ただし、将来の相続税への影響もあるため、高額な土地の贈与に適しているかは個別に検討する必要があります。

高齢の親から土地を譲り受ける場合、年110万円の基礎控除により、従来より利用しやすくなりました。ただし、将来の相続税や土地の価格変動も踏まえて判断する必要があります。

土地の贈与税額を算出する計算シミュレーションを確認する

まずは、土地の贈与税額を算出するシミュレーション手順を確認します。土地の評価額は、国税庁が公表する路線価(ろせんか)という基準を使って計算し、実際の時価よりも2割ほど低く設定されるのが一般的です。ただし、土地の形状などによる補正があるため、個別の評価額が時価の8割になるとは限りません。 

たとえば、路線価による評価額が3,000万円の土地を相続時精算課税制度を使って譲る事例で考えてみましょう。その年に他の贈与がなく、かつ過去に同制度の特別控除を利用していない場合、3,000万円から基礎控除の110万円と特別控除の2,500万円を差し引いた残り390万円に対して、一律20%の税率を掛けて算出します。

計算式は「390万円 × 20% = 78万円」となり、納付額は78万円です。どの制度を使うかによって納付額が全く異なるため、事前の緻密な計算が欠かせません。

生前贈与による土地の名義変更する手続きの流れ

実際に土地を譲る際に行う法務局での登記手続きや必要となる書類一式、専門家への依頼費用について具体的な手順を解説します。

  • 土地の所有権を移転する登記の手続きを進める
  • 名義変更の登記手続きに必要な書類を揃える
  • 司法書士へ依頼する際の報酬相場を確認する

土地の所有権を移転する登記の手続きを進める

土地を贈与する合意ができたら、贈与の事実や条件を明確にするため、贈与契約書を作成することが重要です。誰がどの土地をいつ贈与するのかを書面に残しておきましょう。

その後、土地の所在地を管轄する法務局へ、親から子どもへの所有権移転登記(しょゆうけんいてんとうき)の申請を行います。申請は窓口のほか、郵送やオンラインで行う方法もあります。

公的な記録を書き換えない限り、第三者に対して自分が新しい所有者であることを法的に主張(対抗)できないため、速やかに手続きを進めてください。

名義変更の登記手続きに必要な書類を揃える

法務局へ提出する申請書には、複数の重要書類を添付しなければなりません。

土地を譲った事実を証明する登記原因証明情報や以前の所有者であることを示す登記識別情報(昔の権利証)が必要です。

さらに、親の印鑑証明書、子どもの住民票、そして登録免許税の計算基準となる固定資産評価証明書などを役所で取得します。書類に不備があると補正や追加提出を求められ、登記完了までに時間がかかる場合があるため、事前に入念な準備をしましょう。

司法書士へ依頼する際の報酬相場を確認する

手続きを司法書士へ依頼する際の報酬相場も事前に確認すべき項目です。名義変更の手続きはご自身で行うことも可能ですが、非常に専門的で手間がかかるため、登記の専門家である司法書士へ依頼するのが一般的です。

司法書士の報酬は、土地の筆数や権利関係、契約書作成の有無などによって異なります。登録免許税などの実費も別途かかります。この点、司法書士ごとに得意分野がかなり異なるため、不動産登記を得意としている事務所にご依頼すると、コストが抑えられることも多いです。

もしそのような先のご紹介が必要な場合は、当社にお問い合わせいただければ、オススメの司法書士様におつなぎをすることも可能です。司法書士への依頼は、確実かつスムーズに手続きを終えるための必要経費として見込んでおきましょう。

土地の生前贈与など税金対策なら税理士法人ネイチャー

ここまで読まれて、「結局自分はどのようにすればいいんだろう?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。不動産の承継をどのように進めるかは、その他の財産状況や相続人の状況などに左右されるため、最適解がそれぞれの方によって大きく異なる分野です。

税理士法人ネイチャーは、不動産に関する深い知見と富裕層向け資産運用・税務の豊富な実績を持つ専門家集団です。ご所有の土地について、今のうちに動かすべきか、各種特例を活かして残すべきかをアドバイスさせていただくことが可能です。初回面談は無料となっており、状況によっては初回相談の範囲でその時点での最適解までたどり着けるケースもあります。

最新の税制を踏まえ、ご家族全体の状況に応じた財産の引き継ぎ方を検討いたしますので、ぜひご相談ください。

まとめ:生前贈与すべき土地の性質を見極めて手続きを進めよう

土地を今のうちに渡すか、後に残すかの選択は、ご家族の将来の資産規模を大きく左右する重要な決断です。すべての土地に対して同じやり方が通用するわけではありません。

将来の値上がりが見込まれる土地や家賃収入を生む収益物件は、生前贈与が有利になる場合があります。一方、自宅の敷地など小規模宅地等の特例を適用できる可能性がある土地は、相続まで保有した方が有利になる場合があります。贈与時の税負担や諸費用も含めて比較しましょう。

ご自身の所有する不動産がどちらの性質に当てはまるのかを冷静に分析し、登録免許税などのコストも踏まえたうえで慎重に手続きを進めてください。

「どのように不動産を承継するのが良いか、専門家の意見を聞きたい」という方は、ぜひ一度、税理士法人ネイチャーの無料相談をご活用ください。専門的な視点から、より多くの財産をご家族へ引き継ぐためのサポートをいたします。

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