サラリーマンの資産形成は何から始める?目標額から逆算する5つの手順

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「年収は上がったのに、預金残高はあまり変わらない。」
忙しく働く会社員の方から、よく聞くお声です。給与が増えても、支出も増えれば資産形成は進みにくくなります。

賞与を普通預金に置いたままでは、預金残高は増えても、効率的な資産形成につながるとは限りません。

この記事では、いま持っている純金融資産と目標額、期限から、1年あたりの積立額を求める手順を5段階で解説します。積立額別の試算表や制度の比較表も掲載しました。

資産形成の出発点は、商品選びではなく、目標額から逆算して年間積立額を決める作業です。次に何をすればよいかを明確にしましょう。

資産運用・富裕層

サラリーマンの資産形成は何から始める?

資産形成は、現在の純金融資産を把握することから始めます。次に目標額と期限を決め、1年あたりに必要な積立額を求めます。

年収の高さは、資産形成の進み具合を表す数字ではありません。年収1,500万円でも、生活費や住宅ローンなどの支出が多ければ、資産形成に回せるお金は少なくなります。年収800万円でも年200万円ずつ積み立てれば、10年で積立額の合計は2,000万円です。資産形成では、収入額だけでなく、手取りから継続的に積み立てる金額が重要です。

まずは預貯金、投資信託、株式、保険の解約返戻金など、現在保有している金融資産を確認してください。この記事では、金融資産からローンなどの負債を差し引いた金額を純金融資産として、以降の計算の出発点にします。

サラリーマンの資産形成は副業禁止でもできる?

副業を禁止されていても、多くの場合、資産形成は進められます。自己資金による株式や投資信託への投資は、一般に他社での労働や事業活動とは性質が異なるので注意が必要です。

副業・兼業には、他社で雇用される場合のほか、自営業やフリーランスなどがあります。一方、株式や投資信託への投資は、保有する資金を運用する行為です。

ただし、社内のルールは会社ごとに異なります。勤務先によっては、株式の売買に届出や制限を設けている場合もあります。就業規則やインサイダー取引に関する社内規程は、投資を始める前に確認してください。

なお、給与収入が2,000万円以下の会社員の場合、副業や投資等による給与・退職所得以外の合計所得が年間20万円を超えると原則として確定申告が必要となります。

ただし、NISA口座による運用益は非課税であるため、この20万円の計算に含まれません。また、課税口座であっても「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば金融機関側で課税関係が完結するため、利益が20万円を超えていても確定申告は不要です。社内手続きや確定申告の手間を省きたい場合は、口座区分の選定に注意しましょう。

資産運用・富裕層

サラリーマンの資産形成を進める5つの手順

現在の資産を確認してから積立先を決めるまでを5段階に分けて説明します。順番どおり進めると、毎年必要な積立額を具体的に計算できます。

  1. 現在の純金融資産を計算する
  2. 目標資産額を決める
  3. 資産形成の期限を決める
  4. 年間積立額を計算する
  5. 積立先への配分を決める

1. 現在の純金融資産を計算する

最初に、純金融資産を計算します。この記事では、預貯金、投資信託、株式、債券、保険の解約返戻金などの金融資産から、金融資産に関する負債を差し引いた金額を純金融資産として扱います。

なお、自宅などの不動産は流動性が低く、換金して投資原資に充てることが難しいため、ここでの純金融資産には含めません。あわせて、不動産の対となる住宅ローンについても、資産側の不動産を除外している以上、純金融資産の計算からは差し引かず、日々の「毎月の返済支出(キャッシュフロー)」として別途管理します。

企業型DCや財形貯蓄を利用している方は、現在の残高も確認してください。

2. 目標資産額を決める

次に目標額を決めます。5,000万円や1億円という金額ではなく、将来必要になる資金から目標額を考えることが重要です。

目標額は、老後の生活費、住宅資金、子どもの教育費などから考えます。総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、消費支出が可処分所得を月約4万2,000円上回りました。

ただし、この差額はあくまで平均値です。老後資金は、将来の収入や支出、保有資産などを踏まえて個別に見積もります。

3. 資産形成の期限を決める

目標額の次は、期限を決めます。期限は、お金を実際に使う時期から逆算します。

退職予定が60歳なら、老後資金を準備する一つの区切りは60歳です。教育費は子どもの進学年、住宅資金は購入予定年を基準にします。期限までの年数が長いほど、同じ目標額でも1年あたりの必要積立額は小さくなります。

近い将来に使う資金は、必要な時期に値下がりしている可能性も考慮し、安全性や流動性を重視して運用方法を検討しましょう。

4. 年間積立額を計算する

年間積立額は、2つの金額を比べて決めます。目標から求める「必要積立額」と家計から求める「積立可能額」です。

積立可能額は、次のように計算します。

「年間積立可能額 = 年間手取り額 – 年間生活費 – 1年以内の特別支出 – 現金準備額の不足分」

現金準備額は、毎月の支出や収入の安定性、今後の大きな支出などを踏まえて決めます。必要積立額が積立可能額を上回る場合は、目標額や期限、支出を見直します。継続できる積立額を設定することが重要です。

5. 積立先への配分を決める

最後に、年間積立額の配分を決めます。配分は、資金を使う時期や目的、値下がりへの許容度などを踏まえて決めます。

近い将来に使う資金は安全性や流動性を重視し、長期で運用できる資金は投資信託や株式なども選択肢です。債券を組み合わせて値動きを抑える方法もあります。

たとえば年間240万円を積み立てる場合、預貯金60万円、投資信託150万円、債券30万円といった配分も一例です。実際の割合は、資産状況や運用期間、リスク許容度に応じて検討してください。

サラリーマンの資産形成を積立額別に試算

現在の純金融資産1,000万円から、目標5,000万円に届くまでの年数を試算しました。

年間積立額到達までの年数積立額の合計到達時の資産額(概算)
120万円約20年2,400万円約5,030万円
240万円約12年2,880万円約5,110万円
360万円約9年3,240万円約5,150万円

前提は、現在の1,000万円を含む資産全体を年3%で運用し、毎年末に積み立て、税金と手数料を考慮しない計算です。年間積立額を120万円から360万円へ3倍にすると、到達までの期間は約20年から約9年に短縮されます。

実際の運用成果は、値動きや税金、手数料などによって変化し、課税口座で上場株式等を運用する場合、譲渡益や一定の配当等には原則20.315%の税率が適用されます。運用結果は保証されません。

サラリーマンの資産形成の投資先を比べる

主な投資先を5つの項目で整理しました。

投資先運用期間の考え方価格の変動換金のしやすさ主な税金の扱い
預貯金短期資金にも使いやすい小さい高い利息は原則20.315%の源泉分離課税
投資信託商品や運用目的による中〜大比較的高い種類や利益の内容により異なる
上場株式長期運用にも活用できる大きい比較的高い譲渡益は原則20.315%、配当は課税方式により異なる
債券満期や運用目的による商品により異なる商品により異なる利子や譲渡益などに課税
不動産中長期での保有が中心物件・市場による低い家賃収入は原則総合課税、売却益は分離課税

※税金の扱いは一般的な個人投資家を想定した概要です。金融商品の種類や口座、所得状況などによって異なります。

換金のしやすさは、価格の変動とあわせて確認したい比較項目です。教育費や納税資金など、使う時期が決まっている資金は、必要な時期に換金できるかを確認したうえで運用先を選びます。

サラリーマンの資産形成に使える制度

会社員が使える4つの制度を一つの表にまとめました。

制度掛金を出す人税制上の扱い引き出せる時期勤務先の補助自社株に偏る可能性
企業型DC会社(規約により本人も拠出可)会社掛金は原則給与課税なし、運用益は非課税で受取時に課税原則60歳以降あり低い
NISA本人投資額は所得控除の対象外、対象商品の運用益は非課税いつでも売却可原則なしなし
iDeCo本人掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象、運用益は非課税で受取時に課税原則60歳以降原則なしなし
従業員持株会本人奨励金は原則給与所得、配当や売却益にも原則課税規約による会社により奨励金あり高い

制度を選ぶ際は、勤務先の補助だけでなく、税制上の扱いや引き出せる時期、資産の偏りも確認します。企業型DCの会社掛金や持株会の奨励金はメリットになりますが、持株会は勤務先と投資先が同じになり、資産が自社株に偏る可能性があります。

NISAは年間最大360万円、非課税保有限度額は1,800万円です。iDeCoは2026年12月1日施行予定の改正により、会社員などの拠出限度額が企業年金と共通で月6.2万円に引き上げられます。

企業年金加入者は、企業型DCの事業主掛金などを差し引いた額がiDeCoの上限です。一定の要件を満たす60歳以上70歳未満の方にも加入対象が広がります。

サラリーマンの資産形成を成功させるためのポイント

仕事を続けながら資産形成を継続するための4つの方法を説明します。仕組みを整えれば、相場を頻繁に確認しなくても積立を続けやすくなります。

  • 長期運用を前提にする
  • 積立投資を自動化する
  • 投資先を複数に分散する
  • 資産配分を定期的に見直す

長期運用を前提にする

運用期間は、短期的な値動きではなく目標の期限を踏まえて決めます。一時的な下落だけを理由に売却すると、当初の計画から外れる可能性があります。老後資金など長期間使わない資金は、長期運用も選択肢です。

金融庁の資料でも、積立・分散投資では、保有期間が長いほど収益率のばらつきが小さくなった過去の実績が示されています。

積立投資を自動化する

給与振込の直後に一定額を積み立てる仕組みを作ると、継続しやすくなるでしょう。

生活費を使った残りだけを投資に回す方法では、毎月の支出によって積立額が変わります。証券口座の自動積立や給与天引きの制度を活用し、計画した金額を継続して積み立てます。

投資先を複数に分散する

特定の国や業種に資金が偏らないよう配分しましょう。日本株や勤務先の株に集中すると、その市場や企業の値下がりによる影響を受けやすくなるのです。

地域や資産の種類を分散すれば、価格変動を抑える効果が期待できます。投資信託には、1本で複数の国や企業などへ分散投資できる商品もあります。また近年では、生命保険を活用し、死亡保障を確保しながら資産運用効果を得る方法も注目されています。

資産配分を定期的に見直す

資産配分は定期的に確認し、状況が変わったときにも見直しましょう。昇給、住宅の購入、子どもの進学などがあると、積立可能額や必要額が変わります。値上がりなどによって、特定の資産の割合が当初の配分から大きくずれていないかも確認してください。

年に一度など、確認する時期を決めておくと継続しやすくなります。

サラリーマンの資産形成における2つの注意点

会社員は、給与と保有資産が勤務先の業績に影響される場合があります。投資を始める前に確認したい点を2つ挙げます。

  1. 自社株に資産を集中させない
  2. 近く使う資金を投資に回さない

1. 自社株に資産を集中させない

従業員持株会やRSU(譲渡制限付株式)、ストックオプションなどを通じて自社株を保有している方は、金融資産全体に占める自社株比率の偏りに注意が必要です。

勤務先の株式に資産が偏っていると、万が一業績が悪化した際に「給与や賞与の減少」と「保有資産の目減り」が同時に直撃する「二重のダウンサイドリスク」を抱えることになります。

たとえば純金融資産1億2,000万円のうち7,000万円が自社株である場合、株価が30%下落するだけで自社株資産のみで2,100万円が消失します。自社株比率が突出して高い場合は、インサイダー取引規制等の社内ルールを確認しつつ、一定の売却ルールを定めて他資産へ分散させる出口戦略が不可欠です。

2. 近く使う資金を投資に回さない

預金残高の全額を、投資可能額として考えないことが重要です。住宅購入の頭金や子どもの進学費用は、数年以内に支払いが発生する場合があります。

値下がりした時期に売却すると、損失が確定します。支払時期が決まっている資金は、預貯金などで分けて管理するほか、不動産所得や副収入があり確定申告をしている方は、納税資金もあらかじめ確保しておきましょう。

サラリーマンの資産形成の相談なら税理士法人ネイチャー

企業年金、自社株、複数の証券口座、不動産、海外資産をお持ちの場合、一般的な積立方法だけでは判断が難しくなります。税金や手数料を考慮した手取りに加え、リスクや換金性も含めて検討することが重要です。

また、高所得な会社員の方は、所得税対策も重要です。一部手法においては資産運用と所得税対策を同時に行うことが出来るため、効率よく資産を増加させられる場合があります。

税理士法人ネイチャーでは、所得税対策と資産運用を組み合わせた方法を元に、年収1,000万を超える高所得な方々の手取りを増やすノウハウを積み上げてきました。もしご興味がございましたら、初回面談は無料です。ぜひお問い合わせください。

まとめ:サラリーマンの資産形成は目標額から年間積立額を求めよう

資産形成の出発点は、現在の純金融資産、目標額、期限の3つを確認する作業です。3つが決まれば、1年あたりに必要な積立額が計算できます。投資先や制度を選ぶのは、積立可能額と資金を使う時期が決まったあとです。

年収が高くても、支出が多く、継続的な積立ができなければ、資産形成は進みにくくなります。まずは保有する金融資産と負債を確認し、現在の純金融資産を把握してください。

税理士法人ネイチャーでは、保有資産の種類が多く、全体の配分を判断しにくい方からのご相談も承っています。資産運用と税金対策を一体的に考えたプランを検討したい方は、無料相談をご利用ください。

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