法人は、株式会社や合同会社などの種類に限らず、法人税を納める必要があります。その中で、少しでも税負担を抑えるための節税対策をお考えの方も多いでしょう。
この記事では、法人税の節税対策として最強の手法を税理士がわかりやすく解説します。法人税の節税対策でグレーな手法は避けるべき理由も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
法人税の最強節税対策19選
法人税の節税対策として効果的なものは、以下の19選です。
- 福利厚生を充実させる
- 社宅制度を取り入れる
- 決算賞与を支給する
- 不要在庫を処分する
- 消耗品を経費計上する
- 飲食代を経費計上する
- 事前確定届出給与を利用する
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入する
- 中小企業退職金共済に加入する
- 法人向け保険に加入する
- オペレーティングリースを取り入れる
- 機械や車など設備投資をする
- 少額減価償却資産の特例制度を活用する
- 短期前払費用の特例を活用する
- 広告宣伝費を前倒しで使用する
- 賃上げ促進税制を利用する
- 適切な役員報酬を設定する
- 企業版ふるさと納税を利用する
- 決算月を変更する
税負担を軽減したいと考えているなら、一つずつしっかりと目を通していきましょう。
福利厚生を充実させる
福利厚生を充実させるのは、法人税の節税対策として効果的です。これは、福利厚生費が税法上、一定の条件を満たせば経費として計上できるからです。
例えば、福利厚生には以下のようなものがあります。
- 食事補助
- 社員旅行
- 健康診断など
また、福利厚生を充実させることで、従業員のモチベーションを高められるというメリットもあります。単に節税対策としてではなく、法人の大切な資産でもある従業員のパフォーマンス向上にも活用できるでしょう。
社宅制度を取り入れる
法人税の節税対策として、社宅制度を取り入れるのもおすすめです。社宅制度とは、法人が従業員に社宅を提供する制度のことです。この制度を活用することで、法人は従業員の生活を支援しながら法人税の負担も軽減できます。
また、社宅制度は優秀な人材を確保したり、定着率を向上させたりするのにも役立ちます。例えば、転勤あるいは異動が多い業種の場合、社宅があれば従業員の負担を減らせるうえ、安心して働ける環境を整えられるでしょう。
決算賞与を支給する
法人税の負担を抑えたいなら、決算賞与の支給も選択肢に入れておきましょう。決算賞与は、決算が終わったタイミングで臨時で支給するボーナスのことです。
金額自体は業績をもとに決定できますが、支給方法にはいくつか条件があります。
- 支給額を事前に従業員別で確定後、通知する
- 実際の支給日は、決算の翌日から1か月以内である
- 支給額は、未払金扱いで経費として計上する
決算賞与の支給は単に税負担を軽減する効果を期待できるだけではなく、従業員のモチベーション向上などにもつながるため、検討してみるとよいでしょう。
不要在庫を処分する
不要在庫を処分することも法人税の効果的な節税対策の一つです。
法人が持つ在庫には、需要が減ったものや古くなったものなど価値が低下した商品が含まれているケースがあります。これらの不要な在庫を処分することにより、在庫評価損を計上して課税所得を減らせます。
ただし、証明書類の添付といった手続きを行わずに処分を実行してしまうと、税務署から指摘を受けかねません。場合によっては、専門家から助言を受けたほうがよいでしょう。
消耗品を経費計上する
消耗品の経費計上も法人税の節税対策として有効です。消耗品の経費計上は、その年の利益に直接影響を与えるので節税効果が高いケースもあります。
さらに、消耗品を経費計上することにより、以下のようなメリットがあります。
- 購入したときに全額を経費計上できる
- 減価償却費を計算する手間を省略できる
具体的には、コピー用紙やインクなどは消耗品です。
ただし、消耗品は取得価額が10万円未満のものに限定されます。もし取得価額が10万円以上になるのであれば、原則減価償却費に該当します。
飲食代を経費計上する
飲食代を経費計上するのも、法人税の節税対策としておすすめです。ただし、金額には上限があり、1人あたり10,000円以内の飲食代が経費として計上できる範囲です。
さらに、飲食代を経費として計上するためには、領収書といった書類を用意しておく必要があります。
加えて、以下の項目を記録しておくと、落ち着いて税務調査に対応できるでしょう。
- 日時
- 場所
- 相手
- 目的
- 内容
- 金額など
飲食は、顧客あるいは取引先と良好な関係を築くために役立ちます。経費計上も考慮しながら、効果的に活用してみてください。
事前確定届出給与を利用する
法人税の節税対策として、事前確定届出給与を利用する手法もあります。
この制度を活用することで、あらかじめ税務署に届けた金額を損金として計上できるのです。
この制度の大きな魅力は、臨時の役員賞与も損益算入できることです。仮に想定以上の利益が出たとしても、事前に設定した給与額を損金計上できるので、法人税の負担を軽減できます。
ただし、税務署への届け出には一定の期限があり、期限を過ぎた場合は適用できません。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入する
掛金を損金に算入できる経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入するのも、節税対策の一つの手です。
これは、中小企業が経営上のリスクに備えるために設けられた制度であり、もしもの場合に備えるための資金を確保できます。
例えば、取引先の企業が倒産したとき、積み立てた掛金の総額の10倍以内(最高8,000万円)なら共済金の貸付を受けられます。
ただし、回収困難な売掛債権などの金額の範囲内となるため、注意が必要です。
税負担の軽減をしつつ、リスクの低減も実現させたい場合、活用を検討したい制度です。
中小企業退職金共済に加入する
法人税の節税を考えるなら、中小企業退職金共済への加入も検討しましょう。この制度を活用すれば、従業員に退職金を支払う目的であらかじめ共済金を積み立てられます。
中小企業退職金共済とは…中小企業のための国の退職金制度
そして、積み立てた金額分、損金計上が可能です。退職金の支払いについては、一時金、分割金、併用金の中から選択でき、従業員本人が直接受け取れます。
ただし、中小企業退職金共済への加入は従業員全員する必要があり、個別での加入は認められていないため、注意しましょう。
法人向け保険に加入する
法人税の負担を軽減したいなら、法人向け保険への加入も選択肢の一つです。これは、法人向けの保険に入ることで、保険料を損金計上できるからです。
具体的には、生命保険や医療保険、損害保険といったさまざまな保険が用意されているので、必要に応じて加入を検討してみてください。
また、法人向けの保険は従業員の健康管理などにも役立つため、企業の生産性の向上にもつながるでしょう。
オペレーティングリースを取り入れる
法人税の節税対策として、オペレーティングリースを取り入れるのも有効です。
オペレーティングリースとは…企業に必要な設備や機器をリース会社から借りて利用する手法
リース料は経費として計上でき、法人税の負担軽減を期待できます。
加えて、リース契約が終われば最新の設備に切り替えられるので、技術面の進歩にもスムーズに対応可能です。
また、オペレーティングリースには、資産を購入するときの初期費用を抑えられるという魅力があります。中でも、設備投資が大きな負担となる中小企業は資金繰りの改善を期待できます。
機械や車など設備投資をする
法人税の節税対策の一つとして、機械や車などの設備投資もおすすめです。減価償却費を経費計上できるため、税の負担を抑えられるでしょう。
また、設備投資を行うと補助金の申請ができる可能性があります。例えば、ものづくり補助金やIT導入補助金といった制度が挙げられます。
ただし、補助金の申請方法や適用条件はそれぞれで異なるため、制度の活用を考えているのであれば税理士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
少額減価償却資産の特例制度を活用する
法人税の負担を軽くしたいなら、少額減価償却資産の特例制度を活用するのもよいでしょう。
少額減価償却資産の特例制度を活用すれば、減価償却資産を購入したときに全額を損金算入できます。しかし、取得価額が30万円未満のものが対象です。
さらに、特例を活用したい場合、以下の条件を満たす必要があります。
- 従業員が500人以下であること
- 資本金が1億円以下であること
- 青色申告を行っていること
また、ソフトウェアや商標権などの無形固定資産も適用できる特例です。
ただし、上限は300万円であるため、活用する場合には気をつけてください。
短期前払費用の特例を活用する
法人税の負担を軽くしたいと考えるなら、短期前払費用の特例を活用するのもおすすめです。
具体的には、以下のようなケースで短期前払費用の特例が適用されます。
- 土地や建物の賃料
- システムのリース料
- サービス利用料など
ただし、短期前払費用の特例は以下の条件を満たす必要があります。
- 年払いであること
- 物品の購入ではないこと
- 1年以内にサービスの提供を受けること
- 継続してその支払った日の属する事業年度の損金額に算入すること
参照:No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合|国税庁
適用できるかどうかわからないという場合は、税理士などへの相談も検討してみましょう。
広告宣伝費を前倒しで使用する
広告宣伝費を前倒しで使用するのも、法人税の負担軽減には有効です。
例えば、年度内に必要となる広告費を事前に支出し、その分を損金計上して課税所得を減らします。
また、通常は年度末に計上する予定だった広告費を決算前に支出することにより、早いタイミングで経費と認識できるというメリットもあります。
ただし、仮に広告宣伝費を前倒しで支出したとしても、翌期に広告が出されるのであれば前払費用として翌期に繰延処理されるため、当期の損金にはなりません。
広告宣伝費は、認知度を高めるためには欠かせない経費です。うまく活用して税負担も軽減したいところです。
賃上げ促進税制を利用する
税負担の軽減を考えるなら、賃上げ促進税制の利用を検討してみてください。賃上げ促進税制は、企業の貴重な資産となる人材に対する投資を行ったという点で、税金面で優遇されます。
賃上げ促進税制とは…従業員の給与などを前年度から一定以上増やしたとき、税額控除を受けられる制度
また、給与や賞与などを増やすことにより、従業員のモチベーションや生産性の向上につながるでしょう。
さらに、賃上げ促進税制を利用すれば、賃上げによる費用の増加を相殺できるケースもあります。
適切な役員報酬を設定する
法人税の負担を減らしたいなら、適切な役員報酬を設定しましょう。
役員報酬が適切に設定されていると法人の利益を圧縮し、その結果税負担を軽くできます。役員報酬は、経費扱いで損金算入されます。
ただし、役員報酬が適切に設定されていないと、税務署から指摘を受ける恐れもあるため気をつけなければなりません。
また、報酬は一度決めたら終わりではなく定期的に見直して、業績に応じて柔軟に対応していくとよいでしょう。
企業版ふるさと納税を利用する
法人税の負担軽減を実現するなら、企業版ふるさと納税の利用も検討してみてください。寄付金のうち一定の割合が法人税から控除されるので、実質的な税負担を抑えられます。
企業版ふるさと納税とは…地方自治体に対して寄付を行い、法人税の控除が受けられる制度
また、企業版ふるさと納税は地域活性化や社会貢献にもつながり、企業のブランディングにも役立つでしょう。節税と企業の信頼性やイメージ向上を両立させたいなら、選択肢に入れておきたい制度です。
決算月を変更する
法人税の負担軽減を考えるなら、決算月の変更も有効な選択肢の一つです。一般的に、企業は年度末を決算月に設定することが多い傾向にあります。
しかし、業種やビジネスの特性に寄っては、決算月を変えることで税負担を軽くできる可能性があります。
例えば、売上がシーズナリティで変動する業種の企業なら、売上が低い時期に決算月を設定すれば利益を標準化でき、直近の税負担を軽くできるでしょう。
加えて、決算月の変更により、特定の年度における利益の調整と税負担の分散ができます。
ただし、決算月を変えるには手続きが必要で、コストや手間がかかるため、実行するかどうかは慎重に判断してください。
法人税の節税対策でグレーな手法は避けるべき理由
法人税の節税対策をするなら、グレーな手法は避けるべきです。
理由は大きく2つあります。
- グレーな手法を取ると追徴課税やペナルティが課される恐れがある
- 企業の信用にも影響を与える可能性がある
まず、税務署の監査あるいは調査が入ったときに、グレーな手法が見つかると追徴課税やペナルティが課される恐れがあることです。仮に短期的に税の負担を抑えられても、グレーな手法を長期的に行うとリスクが大きくなるため、避けたほうがよいでしょう。
また、企業の信用にも影響を与える可能性があることです。グレーな手法を用いていることが判明すれば、顧客や取引先からの信用を失うことになりかねません。企業にとっては致命的なダメージとなることもあるでしょう。
このような理由から、法人税の節税対策にグレーな手法を取ってはいけません。対策をするのであれば、適切な手法で取り組みましょう。
自社に必要な法人税の節税対策を見つけるなら税理士法人への相談がおすすめ
自社に適切な法人税の節税対策を見つけるなら、税理士法人への相談がおすすめです。とくに、節税を得意とする税理士法人への相談が効果的です。
具体的には、以下のような税理士法人を探してみましょう。
- 節税に関する知識や経験が豊富である
- 税務調査や税務訴訟の対応が得意である
- 税制改正の動向に敏感である
- 経営者に寄り添う姿勢がある
法人税の節税対策を一から調べるのは大変な作業です。さらに、そこから自社に必要なものを調べるとなればかなりの手間がかかるでしょう。
自社に必要な法人税の節税対策をなるべく手間をかけずに探したいなら、税理士法人への相談を検討してみてください。
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当社は、日本最大級のコンサルティングファームであり、税務に特化しています。そのため、各法人に適切な節税対策を提案できます。
数多くある節税対策のなかから、最適な手法を選ぶのは容易ではありません。仮に選べたとしても、時間や手間がかかり、本業に支障が出てしまう恐れがあります。
その点、当社に相談すれば時間や手間をかけることなく、自社に適切な節税対策がわかります。「法人税を抑えたい」「自社に最適な節税対策を知りたい」という企業様は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。
まとめ:法人ができる最強の節税対策で財務状況を改善しよう
法人税の負担を減らすために、おすすめの節税対策を19個紹介しました。いずれも有効な手法ですので、実践して財務状況を改善しましょう。
また、くれぐれもグレーな手法は避けるべきです。税務署からペナルティを受けたり、企業の信用を失ったりする恐れがあります。
なお、法人によって最適な手法は異なります。より節税効果の大きいものや自社に最適なものを探しているなら、税理士への相談も検討してみてください。
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